マウスコンピューターよりDAIV 3Nをレビューします。(機材貸出元:株式会社マウスコンピューター)
DAIV 3Nは13.3型のノートPCで、CPUに「Core i7-8709G」を採用。Radeon RX Vega M GHが内臓されているため高いグラフィック性能を誇る。外部グラフィックを必要としないため軽量化にもつながり、重量は約1.7㎏に止まっている。約10時間駆動するバッテリーもモバイル性能を高めている。
コンパクトかつハイパフォーマンスを実現し、デザイン含め外観の出来も非常に良い。モバイル環境でのクリエイト作業に強い味方になってくれるノートPCだと直感が告げている。
ベンチテストだけでなく、写真編集や動画編集に使ってみた感想も書きました。ぜひ参考にしてください。
DAIV 3Nをレビュー!
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
マウスコンピューターのDAIV 3Nは、クリエイター向けに販売されているモデルです。
実はDAIV 3Nはブランド最小モデル。それでありながら写真の編集、ゲーム、動画編集といった高負荷なクリエイト作業をこなせる性能を有しています。
グラフィック性能が高い13.3型ノートPCは、市場だとほぼ皆無に等しく存在感も漂わせています。15型でもない、14型でもない、さらに小型なパソコンに価値を見出せる人には、たまらなく魅力的に見えるのではないでしょうか?
そんな魅力的な製品ながら、IntelはCPUの生産中止を発表しており「今買わないとなくなる」という宿命を抱えています。おそらくDAIV 3Nとしても相当早いタイミングで終息が予想されますので、検討されている人は早めに決断したほうが良いかもしれません。
G-Tune P3
ちなみにゲーミングのG-Tune P3は、DAIV 3Nとロゴマークがちがうだけです。G-Tune P3を検討されている方も、本レビューを参考にしてもらえると嬉しいです。
それでは基本構成(スペック)を確認していきましょう。
DAIV 3Nの基本構成(スペック)
型番 | 構成 | 税別価格 |
DAIV 3N | Core i7-8709G / 16GB /Radeon RX Vega M GH / 512GB NVMe SSD | 179,800- |
公式HP | >>詳細を見る |
※表は記事執筆時の内容で、変更になる可能性があります。
価格は¥179.800~で、カスタマイズはSSDを選べるくらいになっています。BTOパソコンでありながら、カスタマイズがあまりできないのは残念なポイントかもしれません。
細かいスコアは後述しますが、高いパフォーマンスをもっているであろうことは容易に想像がつきます。CPUはCore i7ですし、Radeon RX Vega M GHもフルHD程度の画質であれば快適動作を期待できる。
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
CPU Core i7-8709Gの性能
搭載されているCPUは第3世代のCore i7-8709Gです。グラフィックス機能としてRadeon RX Vega M GHを統合しているところが最大の特徴。
Intel製モバイル(ノートPC)CPUの性能
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-8709G | 9780 | 3.1GHz(4.1GHz) | 4コア8スレッド | 100W |
Core i7-9750H | 13740 | 2.6GHz(4.5GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-8750H | 12573 | 2.2GHz(4.1GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-7700HQ | 8798 | 2.8GHz(3.8GHz) | 4コア8スレッド | 45W |
4コア8スレッドのCPUで、通常は3.1GHz動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大4.1GHzまでオーバークロックします。消費電力が100Wと、ノートPCのCPUらしくないところも特徴でしょうか。
CPU単体の処理能力は、そこまで高くない印象。クリエイター向けのPCによく採用されているCore i7-9750Hの7割程度の性能です。
グラフィック性能にふっているのと、コア数も少ないので、実際の作業にどのくらい影響してくるのか?実に気になるポイントです。後ほどRAW現像のテストで明かしていきたいと思います。
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU-Zによるスコアは以下の通りです。
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core ie-8709G | 446.4 | 2195.4 |
Core i7-9750H | 503.0 | 3431.8 |
Core i7-8750H | 468.2 | 2845.8 |
Core i7-7700HQ | 396.1 | 1976.6 |
シングルスレッドのスコアが446.4、マルチスレッドが2195.4となりました。マルチスレッドの落ち込みがちょっと気になる結果です。
動画編集あたりの作業に影響が出そうですね。
CINEBENCHによるベンチマークスコア
CINEBENCHによるスコアは780でした。
CPU | スコア |
Core i7-8709G | 780 |
Core i7-9750H | 1133 |
Core i7-8750H | 1026 |
Core i7-7700HQ | 723 |
1つの目安として1000を超えてくると快適性を感じるように思っているのですが、CPUの性能は「並」といった感じでしょうか。
ストレージ性能
Cドライブは1500MB/sを超える読み込み速度を実現。キビキビと動いてくれるので、ストレスなくパソコンを使うことができます。
速度にこだわりたい人は、最大3,000MB/sを超えるSAMSUNG PM981をカスタマイズで選ぶのがおすすめです。
AMD Radeon RX Vega M GHのグラフィック性能・ゲームスコア
DAIV 3Nに搭載されているグラフィックはAMD Radeon RX Vega M GH(4GB)です。
ミドルクラス程度のグラフィック性能を持っていると言われているので、動画編集やゲーム性能にも期待したいところです。13.3型クラスで軽快に持ち運べて、外で様々な作業が可能になるならパーフェクトマシンですよね!
CINEBENCHのベンチマーク
結果は121.63fpsでした。
過去にテストした結果ですとGTX1660Tiが118.94fps、RTX2070SUPERが144.72fpsです。グラフィック性能に関しては、期待以上のスコアといえるでしょう。
FF15(重たいゲーム)のベンチマーク
Radeon RX Vega M | 1920×1080(標準品質) | 普通(4316) |
GTX1650 | やや快適(5240) | |
GTX1050 | 普通(3349) |
重たいゲームの代表格であるファイナルファンタジーのベンチ結果です。
スコアはGTX1650を搭載した、DAIV 5Pを下回る結果になってしまいました。GTX1050搭載機よりは良いスコアで、ちょうど2つの間という位置づけですね。
最近はGeForce MX250(MX150)を搭載した14インチノートも人気がありますが、動画編集やゲームには物足りなさを感じることもあります。そういう点ではDAIV 3Nは有利です。
本音はもう少し上の性能を期待してましたが、重量級のゲームが遊べるというポイントは大きいです。これくらいのスコアが出ているなら、数多くのゲームをプレイできると思います。
RAW現像にかかる時間は?
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「6分41秒」でした。
無料ソフトの「RawTherapee」を使って現像。JPEG品質は90%、高画質での変換になります。このソフトはかなり重たいのですが、画像の表示も速く、編集を当てても一瞬なので快適でした。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | A機 | B機 |
Core i7-8709G | 6分41秒 | |
Core i7-9750H | 5分35秒 | |
Core i7-8750H | 6分19秒 | 6分32秒 |
Core i7-7700HQ | 7分34秒 | 7分22秒 |
Core i7-8709Gの処理能力は抜群に高いという訳ではありませんが、第7世代のCore i7-7700HQよりも着実な進化を遂げています。
同世代のCore i7-8750Hと比較しても20秒ほどの差。体感的に大きな違いを感じるのは難しいと感じます。ただし第9世代のCore i7-9750Hには1分近くの差をあけられています。
Core i7-9750Hを搭載したノートPCは2㎏を超えるものがほとんど、その点を考えるとCore i7-8709Gも健闘しているほうだと思います。
動画の書き出しにかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約9分12秒でした。データ容量は3.67GBですが、正直実用範囲を超えています。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
4K解像度のデータを使って、編集ソフトで遊んでみましたがレンダリングに時間がかかりすぎています。あまり本格的な動画編集能力を期待するとストレスを感じてしまいそうです。
よりパフォーマンスに期待できる、Core i7-9750H×GTX1650の組み合わせでは6分35秒です。それでも4Kが快適とは思えなかったので、DAIV 3NもフルHDの動画編集にとどめておくほうが無難です。
×264 FHD BENCHMARKのスコア
x264 FHD BENCHMARKでは「スコアが26.4」「エンコード時間が1分35秒」という結果になりました。
参考までにCore i7-9750Hですと「スコアが39.2前後」「エンコード時間は1分05秒前後」です。
PCMARK10のスコア
PCMark10 score | Essentials | Productivity | Digital Content Creation |
5060 | 8990 | 7386 | 5296 |
- Essentials:基本的な性能を測定
- Productivity:office系の性能を測定
- Digital Content Creation:写真・動画編集などの性能を測定
計測結果は5060で、クリエイティブPCとしては数値は高くありません。逆にモバイルPCとして見ると高い数字になっていると思います。
DAIV 3Nに「なにを期待するか?」で答えが変わってくるでしょう。
パソコンはうるさい?静音性は?
高負荷がかかるとさすがにファンが回ります。モバイルできるのが本機のメリットですが、空き時間にカフェで作業するには気になるレベルだと思います。
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。DAIVの出荷予定日はだいたい「注文が確定してから4~5日程で出荷」です。これはカスタマイズをした場合でも変わりません。
当日15時までに注文が確定した場合の目安で、土日祝は注文が確定されません。早く手元にパソコンが欲しい場合は注意しましょう。
※2020年02月時点では、注文集中による出荷遅延が発生しているようです。カスタマイズ、お見積画面で予定出荷日を必ず確認するようにしてください。
DAIV 3Nの外観を写真でチェック!
性能面の話が続きましたが、ここからは外観やデザインなどを含めて使ってみた感想に移りたいと思います。
DAIV 3Nの筐体は黒を基調にしたシンプルなデザイン。ビジネスシーンでも問題なく使えると思います。13.3型で307×215×19.9mmとコンパクトですが、手にとると凝縮感のある重さ(1.7Kg)になっていると感じました。
小さいのでカバンに入れて持ち運ぶのは楽ですが、荷物が多い人や、長時間移動がある人は重量的にやや負担になるかもしれません。
100WのCPUを動かすため、ACアダプターはやや大きめ。iPhoneの厚みを2倍に増したくらいのサイズです。
個人的にフロント側の傾斜が素敵だと思いました。これまでDAIVの筐体をたくさん見てきましたが、一番出来が良いといっても言い過ぎじゃないと思います。
指1本でモニター部を開閉できる上に、トルク感というか手にかかる抵抗感が抜群に良いので無駄に開閉したくなります(笑)
グレア液晶は好みがわかれそう
ディスプレイは、NTSC比 約72%液晶(参考値 sRGB比換算 約102%に相当)なので正確な編集作業が可能。グレア液晶は見た目にもきれいですが、映り込みはあるので長時間の作業には向かないかもしれません。
MACを強く意識しているのか?どことなく近しいモノを感じます。MacライクなWindows機を探している人がいれば検討してもらいたいところ。ちなみに同価格帯のMacBookPro 13インチよりも処理能力は高くなっています。
キーボード
キーボードは日本語配列で、スムーズな打鍵感が得られる。長時間のタイピングでもストレスを感じることはなかったです。右側のshiftが少し小さいくらいで、後は自然な配列になっているところもグッド!もちろんバックライトもついています。
ハンドレスト部は、ちょっと指紋や皮脂汚れがつきやすいようで気になる人には気になりそうです。
インターフェース
・HDMI×1
・USB3.0(Type-A×2)
・USB3.1(Type-C/Thunderbolt 3)
・ヘッドフォン(マイク)端子、など
インターフェースの数は決して多くはありません。クリエイターモデルなので、せめてSDカードスロットは容易して欲しかったところです。
DAIV 3Nのイマイチなポイント
・カスタマイズがほぼできない!
・決して高くはないCPU性能(普通)
・SDカードスロットがない
カスタマイズの自由度が高くないのがやや残念。しかしグラフィック機能内蔵のCPUなので、構成が決まってしまうのは仕方がないところだろう。CPU単体の能力を見てしまうと、クリエイティブにガンガンつ使うにはやや心もとないのも気になる。
DAIV 3Nはこんな人におすすめ
- 外でパソコンを使うことが多い人
- グラフィック性能をそこそこ求める人
- MACじゃないおしゃれなノートPCが欲しい人
- 写真家、動画クリエイター、イラストレーター
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
DAIV 3Nの感想まとめ
DAIV 3Nをレビューしてきました。検討されている人は、CPUの供給が完全に止まってしまう前に決断したほうが良いです。買わないと本当になくなりますから…
13.3型という珍しいサイズに、程良いパフォーマンスをもたせたところがニクイ。「マウスコンピューターやってくれたな」という印象。
趣味で写真や動画を撮る人や、ちょっと息抜きにゲームといったエントリーモデルとしては非常によくできていると思います。重量やバッテリー駆動時間も十分なので、場所を選ばずにパソコンを使いたいという人にはおすすめです。特にMacを比較対象にしている人には、スペック的なメリットを感じられるはずです。
ただし自宅に設置して、ゴリゴリの編集作業に使うには性能不足を感じるかもしれない。毎日RAW現像するような人や、本格的な動画編集を楽しみたい人は別のモデルを選んだほうが無難だと思います。
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