マウスコンピューターより「G-Tune PP-Z」をレビューします。(機材貸出元:株式会社マウスコンピューター)
第11世代Core i9-11900K×RTX3070Tiというリッチな構成で、非常に高いゲーミング性能が魅力のデスクトップパソコンです。高解像データの編集なども快適に行なえ、映像の美しさや快適性にこだわりたいユーザーにはピッタリのモデルと言えます。
各ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像にかかった時間なども掲載していますので参考にして下さい。
目次
G-Tune PP-Zの特徴
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
マウスコンピューターのG-Tune PP-Zはヘビーゲーマー向けのデスクトップPCです。
高解像度、高設定で美麗なグラフィックを楽しめるため、4Kモニターやゲーミングモニターを活かし切ることのできるフラッグシップモデルです。競技性の高いゲームで有利に立ち回ったり、ゲーム実況を楽しんだり、オンラインゲームの世界に浸ることができます。もちろんRAW現像や動画編集といったクリエイティブ領域での活躍も期待できます。
G-Tune PP-Zのスペック
型番 | G-Tune PP-Z |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i9-11900K |
グラフィックス | GeForce RTX 3070Ti |
メモリ | 32GB(最大64GB) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD + 4TB HDD |
電源 | 1200W 【80PLUS GOLD】 |
サイズ | 215×490×481 |
重量 | 約18.4kg |
価格 | 362,780円〜 |
リンク | >詳細を見る |
フラッグシップらしい構成で、載せれるものは全部載せてるといった印象。G-Tune PP-ZにはRadeon RX6700XTを採用したモデルも存在しています。参考までにRadeon RX6700XTを搭載した別モデル(G-Tune EP-A)のスコアも載せているので参考にしてください。
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
G-Tune PP-Zの外観チェック
G-Tuneのフラッグシップモデルでエッジのきいたデザインが特徴。フロント部には熱処理で耐圧強度を高めたダーククロム強化ガラスが使われており、ブラックとレッドのアクセントがきいたカラーリングが目を引きます。
フロント部にはUSB、イヤホンジャック、光学ドライブなどが装備されているます。各種デバイスを扱うゲーマーにはアクセスがよく、利便性に優れている点も魅力的ですね。
エアフローは底面とサイド側から吸気し、熱をもちやすい電源やグラフィックに直接風があたるような設計になっていると感じます。
高性能なPCだけに冷却性も気になるところですが、本製品には水冷クーラーが採用されておりキッチリと熱を逃す設計になっています。ただし排熱はかなりあり、夏場のエアコンが効いた部屋でのテストでも気になりました。PCを中心に熱の塊ができるので、扇風機を当てて熱を散らさないとテストを続けたくないレベル。
ホコリの進入を防ぐダストフィルターもしっかり搭載されており、水洗いも可能なので定期的にクリーニングを行うと良いでしょう。ストレージは最大で 2.5インチ×2、3.5インチ×1、スリム光学ドライブを同時搭載可能です。
G-Tune PP-Zのインターフェース
・DisplayPort×3、HDMI×1
・DVDスーパーマルチドライブ
・USB2.0×4(前面 Type-A×2 / 背面 Type-A×2)
・USB3.0×7(前面 Type-A×2 / 背面 Type-A×5)
・USB3.2×1(背面 Type-C×1)
・ネットワーク×1(背面 2.5GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応(RJ-45)×1)
・ヘッドフォン出力、マイク入力、等
モデルによって表記内容と異なる場合があります。
CPU Core i9-11900Kの性能
G-Tune PP-Zに搭載されているCPUは、第11世代のCore i9-11900Kです。8コア16スレッドのCPUで、通常は3.5GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大5.2GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i9-11900K | 25579 | 3.5GHz(5.2GHz) | 8コア16スレッド | 125W |
Core i9-10900K | 23934 | 3.7GHz(5.3GHz) | 10コア20スレッド | 125W |
Core i7-11700K | 25090 | 3.7GHz(5.3GHz) | 8コア16スレッド | 125W |
Ryzen 7 5800X | 28493 | 3.8GHz(4.7GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 5600X | 22161 | 3.7GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
PASSMARKの公開データによると「Core i9-11900Kは25579」となっており、トップクラスのスコアを叩き出しています。ライバルの「Ryzen 7 5800X」よりも約11%低いスコアなのが気がかりです。
スコアだけで見るならCore i7-11700Kとの差も小さく「Core i9だから選択する」という意義を見いだしにくく感じてしまいます。インテルの意地を見せられるのか?この後チェックしていきます。
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU-Zによるスコアは以下の通りです。
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i9-11900K | 713.5 | 6546.1 |
Core i9-10900K | 627.4 | 7510.1 |
Core i7-10700K | 568.8 | 5629.0 |
Ryzen 7 5800X | 669.4 | 6739.4 |
Ryzen 5 5600X | 645.4 | 4873.0 |
シングルスレッドのスコアが713.5、マルチスレッドが6546.1となりました。シングル性能が異常なほど高く(褒め言葉)、マルチスコアはほどほどになっています。
CINEBENCH R20のスコア
CPU | シングル | マルチ |
Core i9-11900K | 645 | 5880 |
Core i9-10900K | 536 | 6376 |
Ryzen 7 5800X | 621 | 5993 |
Ryzen 7 3700X | 504 | 4822 |
CINEBENCH R20のスコアは、シングルで645、マルチで5880となりました。
シングル性能に至っては独壇場といって良いレベルですが、マルチ性能が旧モデルより低いのは注意しましょう。用途によってはどちらを選ぶかしっかりと判断が必要です。
ストレージ性能
画像は別モデルのものですが、実測値でも2500MB/sに迫る読み込み速度でした。この規格のSSDとしては平均的で、価格を考えるともう少しグレードの高いパーツを採用してほしかった気もします。
GeForce RTX3070Tiのグラフィック性能・ゲームスコア
G-Tune PP-Zに搭載されているグラフィックはGeForce RTX3070Tiです。RTX3070からどれくらい進化したのか?上位グレードと勝負できるのか?個人的には最も気になっているポイントです。
ゲーム(FF15)のベンチマーク
モデル | 設定 | 結果 |
G-Tune PP-Z (RTX3070Ti) |
3840×2160(標準品質) | 快適(6932) |
1920×1080(標準品質) | 非常に快適(16827) | |
G-Tune EP-A (RX6700XT) |
3840×2160(標準品質) | やや快適(5524) |
1920×1080(標準品質) | 非常に快適(15653) | |
G-Tune EP-Z (RTX3080) |
3840×2160(標準品質) | 快適(8572) |
1920×1080(標準品質) | 非常に快適(18679) | |
raytrek ZF (RTX3070) |
3840×2160(標準品質) | 快適(6705) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(16314) |
重量級タイトルのFF15ですが、4K解像度でも快適という結果になりました。さすがにこのクラスになってくると高解像度もしっかり動かせます。
もう少し細かく見ていくと、Radeon RX6700XT搭載モデルよりは高いグラフィック性能をもっていることがわかります。しっかりと差が出ているので描画性能にこだわるならG-Tune PP-Z-6700XTよりもG-Tune PP-Z-3070Tiを選ぶほうが良いでしょう。
気になったのはRTX3070→RTX3070Tiになってもスコアは微増という点です。スコア差で言うと約3%ほどしか変わりません。上位グレードのRTX3080ともしっかりと差がついています。この点を考えるとマイナーチューンという意味合いが強く、あまり神経質に選ぶ必要がない気もします。
フルHDですら排熱がすごかったことを思うと「他のパーツを選んだほうが気持ちよく使えそう…」なんてことが頭をよぎります。
・RTX3080搭載!おすすめパソコン
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RAW現像にかかる時間は?
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の読み込みも速く、編集を当ててストレスなく反映されるので快適に感じました。
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「3分56秒」でした。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Core i9-11900K | 3分56秒 |
Core i9-10900K | 3分56秒 |
Core i7-10700K | 4分30秒 |
Ryzen 7 5800X | 3分46秒 |
Ryzen 9 3900X | 4分23秒 |
Core i9-11900Kの処理時間は3分56秒です。トップクラスの処理能力であることは疑いようもありませんが、Core i9-10900Kと同タイム、Ryzen 7 5800Xに10秒ほど遅れているのは気になってしまいます。
進化を強く感じられないのが残念ということもありますが「RAW現像といえばIntel」というイメージも少し変わりつつあるのかもしれません。
動画の書き出しにかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約3分24秒でした。データ容量は3.67GBです。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Core i9-11900K×RTX3070Ti | 3分24秒 |
Core i9-10900K×RTX3080 | 3分02秒 |
Core i7-10700K×RTX2070S | 3分34秒 |
Core i9-9900K×RTX2080S | 3分48秒 |
Ryzen 7 5800X×RX6700XT |
3分02秒 |
Ryzen 9 3900X×RTX2070S | 2分56秒 |
動画編集能力も高いのは間違いないのですが、全体的にパッとしない印象がぬぐえません。
安心して動画編集作業を行えるという前提の元にあるのは間違いないのですが、旧パーツや下位グレードの製品に大きな差をつけることはなく、Ryzen勢には押されてしまっているのが現状です。
処理能力は高い!高いんですが・・・
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。マウスコンピューターの出荷予定日はだいたい「注文が確定してから4~5日程で出荷」です。これはカスタマイズをした場合でも変わりません。
今回G-Tune PP-Zの出荷予定日を確認してみると5日程度で出荷が可能となっていました。
当日15時までに注文が確定した場合の目安で、土日祝は注文が確定されません。早く手元にパソコンが欲しい場合は注意しましょう。→納期を確認する
G-Tune PP-Zのデメリット
・排熱が大きい
・性能面で決め手がない
G-Tune PP-Zは存在感のあるシャーシで、高い性能から満足度を得られるパソコンだとは思うのですが、他のモデルと比較した時に輝くような存在ではありません。高いシングル性能が生かされるシーンも今回のテストでは見つけることができませんでした。
結果的には、どこかの分野に突出している訳でもなく、総合力で勝てる訳でもない、価格も高い・・・ただ全体的には優れた結果を出せる。言わば最強の二番手というような立ち位置でしょうか。某ひげおじさんの緑の方が脳内で自動再生されました(笑)
排熱も大きくケアが必要なほどですので、個人的には扱いにくさを感じてしまいましたが、逆にそこらをカバーできるスキルがあるなら購入する価値はあるでしょう。
G-Tune PP-Zはこんな人におすすめ
- 快適な環境でゲームを楽しみたい人
- ゲーム、写真現像、動画編集など1台でなんでもやりたい人
- カスタマイズして楽しめる人
- 費用より性能面を重視したいという人
G-Tune PP-Zの感想まとめ
G-Tune PP-Zをレビューしてきました。
全体的に酷評になってしまいましたが、パフォーマンス面の優秀さは間違いありません。高解像度領域でのゲームやRAW現像、動画編集など一定以上の結果を出してくれる相棒になってくれるでしょう。ただし他との性能比較、コストパフォーマンスが気になるという人には向いていないモデルでしょうね。
マウスコンピューターは国内生産ですし、サポート体制や、アフターフォローも手厚いので万が一のトラブルの時にも誠心誠意対応してもらえるだろうという期待感がもてますから安心です。
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