ドスパラよりraytrek G5をレビューします。(機材貸出元:株式会社サードウェーブ)
Core i5-10300H×GTX1650Tiを搭載しながらも税別8万円台という圧倒的安さのクリエイトPCが誕生しました。RAW現像や動画編集といったクリエイトワークもこなせるパフォーマンスで、ほぼ最安クラスと言って間違いないでしょう。どれくらい快適に作業が行えるかを丁寧にチェックしていきます。
それでは、各ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像にかかった時間、動画編集時の感想などを含めてレビューしていこうと思います。
ドスパラ「raytrek G5」をレビュー
公式HP:https://www.dospara.co.jp
ドスパラのraytrek G5は、クリエイター向けのノートパソコンの中でも最安クラスのモデルです。
最安と言ってもクリエイトモデルだけあってパフォーマンスは高め。メモリ容量にも余裕がある16GB、SSDは高速なNVMe対応のパーツが使われるなど手抜きは感じない構成となっています。薄型モデルという訳ではありませんが、ベゼルレスデザインでスッキリしていますので持ち運びも視野に入ります。初心者やライトユーザーにとっては結構いい感じのパソコンなのではないでしょうか。
まずはスペックと外観をチェックしていきましょう。
raytrek G5のスペック
テストで使ったモデルの詳細はこちらです。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i5-10300H |
グラフィックス | GeForce GTX1650Ti |
メモリ | 16GB |
SSD | 500GB NVMe SSD |
駆動時間 | 約6.5時間 |
液晶 | 15.6型フルHDノングレア(sRGBカバー率約91%) |
サイズ | 359.8(幅) × 244.3(奥行き) × 25.8(高さ) mm |
重量 | 約 2.1kg |
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
raytrek G5の外観写真
raytrek G5のサイズは359.8(幅) × 244.3(奥行き) × 25.8(高さ) mmで、重量は約2.1kgです。天板には一切デザインが入っていませんのでビジネスシーンでも使いやすそう打と感じました。
「GALLERIA GCR1660TGF-QC」や「GALLERIA GCR2070RGF-QC」などのガレリアノートに似た雰囲気ではあるものの、やや厚みのある筐体ではあります。
側面からもチェックしても液晶パネル部は、近年の薄型モデルに比べると厚みがあるように感じます。SDXC対応のSDカードリーダーも備わっており、データ転送を頻繁に行うユーザーにはありがたいですね。最近はSDカードリーダーを搭載しないモデルも増えてきていますが、クリエイター向けとうたうなら欲しい機能の1つです。
120WのACアダプターは手に余るくらいのサイズで、一般的な範囲とは言え持ち運びを考えるとやや大きめです。バッテリー駆動時間は約6.5時間ということなので、1日バッテリーだけでフルに過ごすのは厳しいですね。
キーボードはやや特殊な配列
キーボード側に「raytrek」の文字が見えます。大き目の文字で主張ちょっと強いです(笑)
キーボードはやや特殊な配列で、エンターやバックスペース、DELあたりにクセがあるように感じました。タッチ感はソフトでバックライトにも対応しています。
電源ボタン横にパフォーマンス切り替えボタンを装備。目的に合わせて消費電力を抑えたり、パフォーマンスを最大限に発揮したりといった使い方ができます。わざわざアプリを立ち上げて切り替えたりする必要がないので個人的にはこの仕様が好きです。
raytrek G5のインターフェース
インターフェースはUSB2.0 x1/ USB3.2 gen1 Type-A x2, Type-C x1/ マイク入力 x1, ヘッドフォン出力 x1/ HDMI x1/ miniDP x2です。Bluetooth5やWi-Fi 6にもしっかり対応しているのが好印象。インターフェースの数としては十分でしょう。
色域がsRGBカバー率約91%とクリエイター向けとしてはやや低いので、カラーマネジメントが行えるモニターと外部接続して使うのが良いかもしれません。精確な編集作業を行えるだけでなく効率UPも図れます。
CPU Core i5-10300Hの性能
raytrek G5は、第10世代のRyzen 5 4600Hが搭載されています。6コア12スレッドのCPUで、通常は3.0GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大4.0GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i5-10300H | 9501 | 2.5GHz(4.5GHz) | 4コア8スレッド | 45W |
Core i7-10750H |
12806 | 2.6GHz(5.0GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-9750H | 11501 | 2.6GHz(4.5GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i5-10300Hはエントリー向けの製品なので、Core i7などの上位モデルと比較するとスコアは控えめです。個人的な感覚ではスコアが10000あたりに達すると、写真編集や動画編集などで快適性を得られると思っています。Core i5-10300Hも十二分に活躍が期待できるCPUだと思います。
ただし継続的に処理を行ったり、毎日編集作業を行うようなプロフェッショナルな方には物足りないかもしれません。
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU-Zによるスコアは以下の通りです。
シングルスレッドのスコアが480.3、マルチスレッドが2476.0となりました。
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i5-10300H |
480.3 | 2476.0 |
Core i7-10750H | 514.3 | 3779.6 |
Core i7-9750H |
490.4 | 3349.9 |
Core i7-7700HQ | 396.1 | 1976.6 |
シングルスレッドだけならCore i7と戦えるだけのパフォーマンスがあります。とは言え、コア数スレッド数が劣るのでマルチスレッドのスコアは低くなってしまいます。
この辺りの要素がRAW現像などの実作業でどのように影響してくるか気になるところです。
CINEBENCH R15のスコア
CINEBENCHによるスコアは1455でした。
CPU | スコア |
Core i5-10300H | 922 |
Core i7-10750H | 1326 |
Core i7-9750H |
1102 |
Core i7-7700HQ | 723 |
CINEBENCH R15の結果を見ると、Core i7-10750H比で約70%、Core i7-9750H比で約83%ほどのスコアに留まります。やや物足りない数値であることは否めませんが、第7世代のCore i7-7700HQあたりを使っている人なら乗り換えても恩恵がありそうです。
CINEBENCH R20のスコア
CPU | シングル | マルチ |
Core i5-10300H | 447 | 2179 |
Core i7-10750H | 465 | 3089 |
ストレージ性能
Cドライブは500GB NVMe SSD搭載で、読込速度は約2500MB/sです。
SSDとしては比較的速いほうで、税別8万円台のパソコンに乗っているのが信じられないくらいです。SSDは意外と費用がかかるので削ろうと思えばコストを抑えることができるはず・・それをしないのは快適性を損なうからでドスパラの良心が伝わってくるようです。
GeForce GTX1650Tiのグラフィック性能・ゲームスコア
raytrek G5に搭載されているグラフィックはGeForce GTX1650Tiです。PCの価格を抑えている割に、ややグレードの高いグラフィックが搭載されているのは本当にすごいですね。
CINEBENCHのベンチマーク
結果は112.97fpsでした。
別のGTX1650搭載機で136.34というスコアを確認しているのでやや残念な結果でしょうか・・・とは言え、このスコアだけで性能が左右される訳でもありません。ゲームのベンチをチェックしましょう。
FF15(重たいゲーム)のベンチマーク
GTX1650Ti | 3840×2160(標準品質) | 動作困難(1994) |
1920×1080(標準品質) | やや快適(5636) | |
GTX1650 | 1920×1080(標準品質) | やや快適(5211) |
重量級ゲームの代表格、ファイナルファンタジー15のベンチ結果です。ちゃんと性能なりのスコアが出ています。
あくまでもライトユーザー向けですが、フルHD環境なら調整次第でほとんどのゲームは動くはずです。高解像、高リフレッシュレートを狙うなら悪いことは言わないのでよりグレードの高い製品を選ぶべきです。
RAW現像にかかる時間は?
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の表示も速く、編集を当てても一瞬なので快適でした。
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「5分54秒」でした。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | A機 | B機 |
Core i7-10750H | 5分10秒 | |
Core i7-9750H |
6分10秒 | 5分35秒 |
Core i5-10300H | 5分54秒 | 6分12秒 |
Core i7-7700HQ | 7分34秒 | 7分22秒 |
意外にも従来モデルのCore i7-9750Hに近い時間で処理が完了しています。そう考えるとコストパフォーマンスという意味ではかなり価値のあるパソコンだと言えそうです。
当然ながら現行モデルのCore i7-10750Hには敵いません。処理の短縮化が目的ならCore i7-10750H搭載モデルを選ぶ方が無難です。
動画の書き出しにかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約7分48秒でした。データ容量は3.67GBです。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
製品 | CPU | 処理時間 |
raytrek G5 |
Core i5-10300H×GTX1650Ti | 7分48秒 |
GR1650TGF-T | Ryzen 5 4600H×GTX1650Ti | 6分17秒 |
DAIV 5N | Core i7-10875H×RTX2060 | 4分58秒 |
数分程度の4Kデータで遊んでみましたが、簡単な編集→書き出しまでは一応できました。本格的な4K動画編集だとスペックが追い付きませんので、あくまでもフルHDクラスの動画編集に使うのが正しいと思います。
とは言え、8万円台のパソコンで写真編集や動画編集を楽しめるとは・・・すごい時代になったもんです。
PCMARK10のスコア
PCMark10 score | Essentials | Productivity | Digital Content Creation |
4540 | 9018 | 7343 | 3836 |
- Essentials:基本的な性能を測定
- Productivity:office系の性能を測定
- Digital Content Creation:写真・動画編集などの性能を測定
raytrek G5の総合スコアは4540です。価格を考えると高い数字になっていると思います。デジタルコンテンツの数値が低いのが気になりますが、おおむね性能は出ているのであまり気にしなくても良いでしょう。
当モデルは予算を抑えてRAW現像やイラスト、動画編集やゲームといった目的に使えます。これだけ多用途に使えて税別8万円台は本当にすごいです!
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
ドスパラは翌日出荷に力をいれているので早いモデルは翌日出荷されます。このモデルの出荷は「翌日出荷」となっていました。在庫さえあればすぐに手に入るのが嬉しいですね!
raytrek G5のデメリット
・カスタマイズ性に乏しい
・ACアダプターが大きい
・色域が物足りない
raytrek G5は、価格を考えれば十二分にパフォーマンスは高いです。しかしカスタマイズ性できる余地があまりないので、CPUのパフォーマンスを高めたいといった希望には添えません。クリエイター向けモデルとしては色域も物足りないですし、せめてsRGBカバー率約100%近くあればWebコンテンツ系で自信をもって使えたと思います。液晶の発色なんかは普通にきれいなんで余計にそう思います。
raytrek G5はこんな人におすすめ
- 予算が10万円以下の人
- 写真やイラストをカジュアルに楽しみたい人
- モバイル環境で動画編集(フルHD)したい人
- クリエイターのセカンドパソコンとして
公式HP:https://www.dospara.co.jp
raytrek G5の感想まとめ
raytrek G5を使って様々なテストを行ってきました。
10万円以下という価格からは考えられないほど高いパフォーマンスで、コストパフォーマンスという意味では魅力的な製品だと思います。RAW現像や動画編集目的に選んでも十分に対応できると思います。翌日出荷にも対応しており「パソコンがすぐにでも欲しい」というユーザーにもおすすめです。
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