マウスコンピューターのクリエイター向けモデル「DAIV A9」をレビューします。(機材貸出元:株式会社マウスコンピューター)
Ryzen 7 7700X×GeForce RTX3070を搭載し、高解像データ編集にも対応できるハイスペックモデルです。高度な4K動画編集なども楽しめますしゲームも高設定で遊べます。シリーズ最高峰クラスということもあって価格は30万円となかなか高価ですが、それに見合う性能があるのか?チェックしていきましょう。
各ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像にかかった時間なども掲載していますので参考にして下さい。
目次
DAIV A9をレビュー!
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
マウスコンピューターのDAIV A9は、クリエイター向けに販売されているモデルです。
価格は上がってしまってもパフォーマンスを継続して発揮できるようにデザインされていますので、写真やイラスト、動画コンテンツなどを扱うクリエイターに最適なデスクトップパソコンとなっています。
Intel製CPUを搭載した「DAIV Zシリーズ」とは別で、AMD CPUを採用しているのが最大の特徴です。ただしZシリーズよりもメモリ容量が少なかったりするので注意してください。
過去にはGTX1650を採用した下位モデルや、Radeon RX6600XTを採用し価格を抑えたモデルなどが販売されました。時期により終了している可能性がありますが合わせてチェックしてみてください>DAIVのラインナップを確認する
DAIV A9のスペック
型番 | DAIV A9 |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | Ryzen 7 7700X |
グラフィックス | GeForce RTX 3070 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 500GB NVMe SSD(Gen 4) |
電源 | 700W 【80PLUS BRONZE】 |
サイズ | 約190×490×410 |
重量 | 約11.5kg |
価格 | 304,800円〜 |
リンク | >詳細を見る |
DAIV A9はシリーズの中でもハイエンドモデルに位置しており、グラボが強化されているのが特徴です。より高度な動画編集に対応したり、描画性能を求めているゲーマー向けのモデルと言えます。そのため価格が上がってしまうのは仕方がないことですが30万円というのはややコスパが悪いようにも感じます・・・
うまく公式サイトのセールなどを活用してお得にゲットしましょう。公式サイトではセールにも力を入れているので、状況によっては価格が数万円値下がりする可能性もないとは言えません。
>公式サイトでDAIV A9を確認する
>公式サイトでセール状況を確認する
また、この他にもIntel CPUを採用したDAIV Zシリーズがあります。→Coore i7-12700搭載!DAIV Z7レビュー
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
DAIV A9の外観チェック
DAIVのデスクトップはモデルに限らず筐体は共通。最近では新しいシャーシを採用したモデルも販売がスタートしましたが、100万円とかするので現実的ではありません。後々切り替わっていくでしょうが、現状は写真のデザインのモノが主流になっています。
電源スイッチはダイヤル式となっており、車やバイクにキーを刺して点火させるイメージなんだとか。電源ボタンに1つにしても工夫があるので気分が上がってしまいますよね!
フロント部は少しだけ角度がつけてあり、各種デバイス類を使いやすくしてあるのも「こだわり」なんだとか。
エアフローはフロントとサイド側から吸気し、熱をもちやすいグラフィックに直接風があたるような設計になっています。フロントにはメッシュパネルも付属していますのでホコリの侵入を防ぐ徹底ぶり。
スタジオ内での移動を想定しているため、ハンドルやキャスターが標準装備されています。仮にそうしたクリエイターではなくても、デスク下から引き出す際や、パソコンをかつぐ際に上下のハンドルを両手でつかめたりと便利です。
重量があるモデルなので少し心配ですが、形成部分とつなぎ目には板金補強しているので重量を気にすることなく使っても平気なんだとか。
DAIV A9 インターフェース
・DisplayPort×3、HDMI×1
・USB3.2×1(背面 Type-C×1)
・USB3.1×3( 背面 Type-A×3)
・USB3.0×6(前面 Type-A×2 / 背面 Type-A×4)
・USB2.0×2(背面 Type-A×2)
・ネットワーク×1(背面 2.5GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応(RJ-45)×1)
・ヘッドフォン出力、マイク入力、等
モデルや発売時期によって内容が異なる場合がありますのでご注意ください。詳しくはDAIV A9の販売ページでご確認ください。
CPU Ryzen 7 7700Xの性能
DAIV A9に搭載されているCPUはRyzen 7 7700Xです。8コア16スレッドのCPUで、通常は4.5GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大5.4GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Ryzen 7 7700X | 36459 | 4.5GHz(5.4GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 7600 |
27810 | 3.8GHz(5.1GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 7 5800X | 28493 | 3.8GHz(4.7GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 5600X | 22161 | 3.7GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 7 3700X | 22742 | 3.7GHz(4.3GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 5 3600X |
18309 | 3.8GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 95W |
Core i7-12700 | 32117 | 2.1GHz(4.9GHz) | 12コア20スレッド | 65W |
Core i5-12400 | 19333 | 2.5GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
PASSMARKの公開データによると「Ryzen 7 7700Xは36459」となっており、従来のRyzen 7を大きく上回るスコアです。従来モデルDAIV A7に搭載されていた「Ryzen 5 5600X」よりも約65%も高いスコアなのも進化を感じらて良いですよね!
スコアだけで見るならCore i7-12700にも勝っていますし処理能力の面で心配はいらないといった印象を受けます。
CPU-Z ベンチマークスコア
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Ryzen 7 7700X | 759.3 | 8191.5 |
Ryzen 5 7600 |
713.9 | 5897.3 |
Ryzen 7 5800X | 669.4 | 6739.4 |
Ryzen 5 5600X | 638.5 | 5000.6 |
Ryzen 7 3700X | 516.7 | 5560.9 |
Core i7-13700 | 827.1 | 11044.3 |
Core i7-12700 | 749.2 | 8889.5 |
シングルスレッドのスコアが759.3、マルチスレッドが8191.5となりました。
旧世代Ryzen 5000番台よりもRyzen 7000番台の方が全体的にスコアが高くなっています。特にシングル性能が大きく引きあがったことにより、クリエイトやゲーミング領域でも結果を残せるモデルに進化した印象です。
インテルの第12世代Core i7-12700とはほぼ同等のスコアですが、第13世代Core i7-13700には差をつけられてしまっているのが気がかりです。
CINEBENCH R20 スコア
CPU | シングル | マルチ |
Ryzen 7 7700X | 771 | 7888 |
Ryzen 5 7600 | 717 | 5846 |
Ryzen 7 5800X | 621 | 5993 |
Ryzen 5 5600X | 595 | 4415 |
Ryzen 7 3700X | 504 | 4822 |
Core i7-13700 | 773 | 7349 |
Core i7-12700 | 726 | 6751 |
CINEBENCH R20のスコアはシングルで595、マルチで4415となりました。こちらのテストでは、Core i7-13700とシングル性能は同等、マルチ性能は少し上という結果になりました。
ストレージ性能
ストレージは理論値で3000MB/s程度の読み込み速度が可能なNVMe SSDです。Gen 4としては物足りない速度と言わざるを得ません。
パソコンの動作自体はサクサクなのですが、こうしたところにコストダウンが見られるのは少々残念ポイントです。カスタマイズで高性能なパーツに変更は可能ですが、もともと価格もそれなりにするので最初から搭載してくれたほうが良心的だと思います。
GeForce RTX3070のグラフィック性能・ゲームスコア
DAIV A9はGeForce RTX3070が採用されています。グラボに直接風があたるようにファンが設置されているので、長時間作業でも性能を落とすことなくパフォーマンスを維持できます。
ゲーム(FF15)のベンチマーク
モデル | 設定 | 結果 |
DAIV A7 (RTX3060) |
3840×2160(標準品質) | 普通(4331) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(11613) | |
GALLERIA RM5C-R36T (RTX3060Ti) |
3840×2160(標準品質) | 普通(5341) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(12738) | |
DAIV A9 (RTX3070) |
3840×2160(標準品質) | 快適(6577) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(16422) |
重量級タイトルのFF15ですが、4K解像度でも普通という結果になりました。RTX3060(Ti)シリーズよりもゲーミング性能が高いため、より快適に遊べる可能性が高いです。
これくらいの金額を出すならゲーミング性能もついてきてほしいところですから、RTX3070を搭載したモデルを選ぶのも悪くない選択だ思います。Ryzenの高い性能のおかげもあって、しっかりとグラボの性能も引き出せていると感じました。
・RTX3070搭載!おすすめパソコン
・RTX3060Ti搭載!おすすめのパソコン
RAW現像にかかる時間は?
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の読み込みも速く、編集を当ててストレスなく反映されるので快適に感じました。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Ryzen 7 7700X | 2分50秒 |
Ryzen 5 7600 | 3分11秒 |
Ryzen 7 5800X | 3分46秒 |
Ryzen 5 5600X | 3分55秒 |
Ryzen 9 3900X | 3分51秒 |
Ryzen 7 3700X | 4分58秒 |
Core i7-13700 | 3分15秒 |
Core i7-12700 | 3分13秒 |
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「2分50秒」でした。
シングル性能の高さも手伝ってかトップクラスの処理能力を見せてくれました。モデル(パーツ構成や設定など)による差もあるとは思いますが、Core i7-13700よりも速く処理を終えたのは意外でした。RAW現像を目的として選ぶのも選択肢としてはありと言えそうですね。
動画の書き出しにかかる時間は?
CPU | 処理時間 |
Core i7-12700×RTX3060 | 2分52秒 |
Core i7-11700×RTX3060 | 4分40秒 |
Core i9-11900K×RTX3070Ti | 3分24秒 |
Ryzen 7 7700X×RTX3070 | 2分22秒 |
Ryzen 7 5800X×RX6700XT |
3分02秒 |
Ryzen 5 5600X×RX6700XT | 4分04秒 |
Ryzen 7 7700X×RTX3070なら2分22秒で処理を終えます。従来の5000番台よりも処理を短縮化していますし、インテルと比較しても悪くない結果ですよね。
パソコンはうるさい?静音性は?
高負荷がかかるとさすがに冷却ファンが回りますが、これは一般的なパソコンと同様に感じました。特にうるさすぎるとか、作業に集中できないなんてことはありませんでした。
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。DAIVの出荷予定日はだいたい「注文が確定してから4~5日程で出荷」です。これはカスタマイズをした場合でも変わりません。
当日15時までに注文が確定した場合の目安で、土日祝は注文が確定されません。早く手元にパソコンが欲しい場合は注意しましょう。
※2020年02月時点では、注文集中による出荷遅延が発生しているようです。カスタマイズ、お見積画面で予定出荷日を必ず確認するようにしてください。
DAIV A9のデメリット
・Ryzen 3000番台のコスパは消えた
・カスタマイズがあまり選べない
・随所にみられるコストダウン
デスクトップにありがちですが、PC関連デバイス(マウスやキーボード)は付属しません。当然ながらモニターも自分で用意しないといけないため、結果的にコストが高くつく可能性もあります。
また昨今の事情もあってか、パーツが微妙に廉価版に置き換えられているのが気になります。ストレージもGen4と言いながら速度は伸びませんし、電源もGOLD→BRONZEになるなどコストダウンが見られました。動作にめちゃくちゃ影響するほどではないとは言え、DAIVはこだわりがウリなところもあるので姿勢を貫いてほしいところです。
DAIV A9はこんな人におすすめ
- CPU性能が高いモデルが欲しい人
- DAIVのデザインに惚れた人
- ゲームも快適に遊びたい人
- 写真家、ゲーマー、動画クリエイターなど
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
DAIV A9シリーズの感想まとめ
DAIV A9シリーズをレビューしてきました。
Ryzen 7 7700Xが思った以上のパフォーマンスを見せてくれたのが好印象でした。ベンチマークはもちろん、RAW現像などの実作業でもしっかり結果を出せるので処理能力を求めているユーザーに検討してもらいたいです。一方でやや絞られている箇所もあるのでユーザー側で補ってあげるのも重要です(メモリ容量、ストレージ、電源など)
マウスコンピューターは国内生産ですし、サポート体制や、アフターフォローも手厚いので万が一のトラブルの時にも誠心誠意対応してもらえるだろうという期待感がもてますから安心です。
当ブログは予算や目的、パーツなどからパソコンが選べるようになっております。ぜひトップページからお気に入りの1台を見つけてください。