マウスコンピューターのクリエイター向けモデル「DAIV FX-A5G60」をレビューします。(機材貸出元:株式会社マウスコンピューター)
Ryzen 5 7600X×GeForce RTX3060を搭載したミドルユーザーに向けたデスクトップパソコンです。高解像データ領域もカバーできるほどのパフォーマンスを発揮します。RAW現像、動画編集などクリエイティブな作業だけでなく、最新ゲームも快適に遊べます。価格は30万円とややコスパは悪い気もしますが見合う性能があるのかチェックしていきましょう。
各ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像にかかった時間なども掲載していますので参考にして下さい。
DAIV FX-A5G60をレビュー!
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
マウスコンピューターのDAIV FX-A5G60は、クリエイター向けに販売されているモデルです。
従来モデルだとDAIV A7クラスに相当し、長時間の作業でも安定した性能を発揮できるようにデザインされています。写真、イラスト、動画コンテンツなどを扱うクリエイターにとっても頼りになるデスクトップパソコンでしょう。
筐体がリニューアルされたことで大型グラフィックや、大型の水冷クーラーなどが搭載可能となっています。またIntel製CPUを搭載した「DAIV FX-I〇〇シリーズ」も存在しますが、AMD CPUを軸にしているのも特徴です。
マウスコンピューターでは時期によりラインナップ、パーツ構成、価格などが変更となっている可能性もあります。合わせてチェックしてみてください>DAIVのラインナップを確認する
DAIV FX-A5G60 スペック
型番 | DAIV A9 |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | Ryzen 5 7600X |
グラフィックス | GeForce RTX 3060 |
メモリ | 32GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD(Gen 4) |
電源 | 850W 【80PLUS BRONZE】 |
サイズ | 約220×510×525mm |
重量 | 約11.8kg |
価格 | 294,800円〜 |
リンク | >詳細を見る |
DAIV FX-A5G60はシリーズの中でもミドルクラスに位置しており、ほどよく性能が高めのパーツが採用されているのが特徴です。エントリークラスではできないような高度な編集作業に対応したり、ゲーミング性能求めている人向けのモデルと言えます。ミドルクラスだとせめて20万円台に収めたい気がしないでもないですがお値段はちょっと強気の30万円ほどです。
公式サイトではセールにも力を入れているのでお得なタイミングを狙うのがポイントです。>公式サイトでセール状況を確認する
また、この他にもIntel CPUを採用したDAIV FXシリーズもあります。→Coore i7-12700搭載!DAIV Z7レビュー
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
DAIV FX-A5G60 外観チェック
DAIVのデスクトップはモデルに限らず筐体は共通。新シャーシになったことで大型のグラフィックにも対応できるようになりました。以前は熱やサイズの問題でハイエンドクラスがなかなか搭載できないという話も耳にしましたが、その問題が解消されたのは大きいですね。(クリエイター向けモデルなのに性能を追求できないのは厳しいですからね)
電源スイッチやUSB部分はカバー式になり、ホコリの侵入を防ぐとともに誤作動も起きないように工夫されています。また大型グラフィックスを支えるサポートバーも標準搭載。反りやズレ、運搬時のダメージを軽減してくれます。
フロントと上部とサイド側から吸気し、最大6個搭載可能なケースファンで内部を冷却します。240mm水冷を2基同時に搭載可能ですので、CPUとグラボを効率的に冷やせるのも特徴の1つ。こだわり抜きたいクリエイターにもおすすめできるデスクトップパソコンです。
スタジオ内での移動を想定しているため、ハンドルやキャスターが標準装備されています。仮にそうしたクリエイターではなくても、デスク下から引き出す際や、パソコンをかつぐ際に上下のハンドルを両手でつかめたりと便利です。
DAIV FX-A5G60 インターフェース
・DisplayPort×3、HDMI×1
・USB3.2×1(背面 Type-C×1)
・USB3.1×3(背面 Type-A×3)
・USB3.0×7(背面 Type-A×4 / 上面 Type-C×1 / Type-A×2)
・USB2.0×2(背面 Type-A×2)
・ネットワーク×1(背面 2.5GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応(RJ-45)×1)
・ヘッドフォン出力、マイク入力、等
モデルや発売時期によって内容が異なる場合がありますのでご注意ください。詳しくは販売ページでご確認ください。
CPU Ryzen 5 7600Xの性能
DAIV FX-A5G60に搭載されているCPUはRyzen 5 7600Xです。6コア12スレッドのCPUで、通常は4.7GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大5.3GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Ryzen 7 7700X | 36459 | 4.5GHz(5.4GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 7600X |
28967 | 4.7GHz(5.3GHz) | 6コア12スレッド | 105W |
Ryzen 7 5800X | 28493 | 3.8GHz(4.7GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 5600X | 22161 | 3.7GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 7 3700X | 22742 | 3.7GHz(4.3GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 5 3600X |
18309 | 3.8GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 95W |
Core i7-13700 | 39354 | P:2.1GHz(5.2GHz) E:1.5GHz(4.1GHz) |
16コア24スレッド (P:8コア/E:8コア) |
65W |
Core i5-13400 | 26442 | P:2.5GHz(4.6GHz) E:1.8GHz(3.3GHz) |
10コア16スレッド (P:6コア/E:4コア) |
65W |
PASSMARKの公開データによると「Ryzen 5 7600Xは28967」となっており、従来のRyzen 7 5800X並みのスコアです。またRyzen 5 5600Xよりも約30%も高いスコアなので、より快適かつ高負荷な作業にも耐えらえれます。
インテル第13世代Core i5-13400にも勝っており、実作業でどの程度影響が出てくるのか楽しみです。
CPU-Z ベンチマークスコア
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Ryzen 7 7700X | 769.0 | 8115.3 |
Ryzen 5 7600X |
764.8 | 6167.3 |
Ryzen 7 5800X | 669.4 | 6739.4 |
Ryzen 5 5600X | 638.5 | 5000.6 |
Ryzen 7 3700X | 516.7 | 5560.9 |
Core i7-13700 | 827.1 | 11044.3 |
Core i7-12700 | 749.2 | 8889.5 |
シングルスレッドのスコアが764.8、マルチスレッドが6167.3となりました。
旧世代Ryzen 5000番台よりもRyzen 7000番台の方が全体的にスコアが高くなっています。特にシングル性能が大きく引きあがったことにより、クリエイトやゲーミング領域でも結果を残せるモデルに進化した印象です。
シングル性能を重視するような作業しか行わないのであればRyzen 7 7700Xを選択しなくても良いという理解で良いでしょう。
CINEBENCH R20 スコア
CPU | シングル | マルチ |
Ryzen 7 7700X | 775 | 7813 |
Ryzen 5 7600X | 759 | 5884 |
Ryzen 7 5800X | 621 | 5993 |
Ryzen 5 5600X | 595 | 4415 |
Ryzen 7 3700X | 504 | 4822 |
Core i7-13700 | 773 | 7349 |
Core i7-12700 | 726 | 6751 |
CINEBENCH R20のスコアはシングルで759、マルチで5884となりました。Core i7-12700とシングル性能は同等、マルチ性能はわずかに劣るという結果になりました。Ryzen 5 7600Xはなかなか侮れない性能です。
ストレージ性能
ストレージは3500MB/s程度の読み込み速度が可能なNVMe SSDです。Gen 4の理論値としては7000MB/sくらいも狙えるので、性能としては十分ですが、若干物足りなさを感じると言わざるを得ません。
パソコンの動作自体はサクサクなのですが、こうしたところにコストダウンが見られるのは少々残念ポイントです。カスタマイズで高性能なパーツに変更は可能ですが、もともと価格もそれなりにするので最初から搭載してくれたほうが良心的だと思います。
GeForce RTX4070Tiのグラフィック性能・ゲームスコア
DAIV FX-A5G60はGeForce RTX3060が採用されています。
ゲーム(FF15)のベンチマーク
モデル | 設定 | 結果 |
DAIV FX-A7G7T (RTX4070Ti) |
3840×2160(標準品質) | とても快適(10036) |
1920×1080(標準品質) | 非常に快適(23397) | |
DAIV FX-A5G60 (RTX3060) |
3840×2160(標準品質) | 普通(4368) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(11858) | |
GALLERIA RM5C-R36T (RTX3060Ti) |
3840×2160(標準品質) | 普通(5341) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(12738) | |
DAIV A9 (RTX3070) |
3840×2160(標準品質) | 快適(6577) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(16422) |
重量級タイトルのFF15ですが、4K解像度でも普通という結果になりました。RTX3060シリーズならゲーミング性能としても十分ですが、より成果を求めるならRTX3060Ti搭載の上位モデルを選ぶのもありだと思います。
ゲーミング性能に妥協したくないのであればRTX4070Tiを搭載したモデルを選ぶのもおすすめです。お値段は高いですが、Ryzenの高い性能のならグラボの性能も引き出せるはずです。
・RTX4070(Ti)搭載!おすすめパソコン
・RTX3060TiとRTX3070を比較!おすすめのパソコン
RAW現像にかかる時間は?
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の読み込みも速く、編集を当ててストレスなく反映されるので快適に感じました。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Ryzen 7 7700X | 3分24秒 |
Ryzen 5 7600X | 3分09秒 |
Ryzen 7 5800X | 3分46秒 |
Ryzen 5 5600X | 3分55秒 |
Ryzen 7 3700X | 4分58秒 |
Core i7-13700 | 3分24秒 |
Core i7-12700 | 3分30秒 |
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「3分09秒」でした。
パソコンの構成にもよるのは当然ながら、Ryzen 5 7600Xのシングル性能の高さが生きたシーンだと思います。ライバルも含めた他CPUに負けるという印象はもちません。
RAW現像メインで選ぶとしてもRyzen 5 7600Xは悪い選択肢ではありません。
動画の書き出しにかかる時間は?
構成 | 処理時間 |
Ryzen 7 7700X×RTX4070Ti | 2分16秒 |
Ryzen 7 7700X×RTX3070 | 2分22秒 |
Ryzen 5 7600X×RTX3060 | 3分04秒 |
Ryzen 7 5800X×RX6700XT |
3分02秒 |
Ryzen 5 5600X×RX6700XT | 4分04秒 |
Core i7-12700×RTX3060 | 2分52秒 |
Core i7-11700×RTX3060 | 4分40秒 |
Ryzen 5 7600X×RTX3060なら3分04秒で処理を終えます。従来のRyzen 7 5800Xと比較しても目劣りしませんし、インテルと比較しても悪くない結果ですよね。
RTX3000→RTX4000にしたところで数秒ほど短縮できるだけで、費用だけの効果はありません。動画編集だけならRTX3000番台のほうがコスパは良いと思います。
パソコンはうるさい?静音性は?
高負荷がかかるとさすがに冷却ファンが回りますが、これは一般的なパソコンと同様に感じました。特にうるさすぎるとか、作業に集中できないなんてことはありませんでした。
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。DAIVの出荷予定日はだいたい「注文が確定してから4~5日程で出荷」です。これはカスタマイズをした場合でも変わりません。
当日15時までに注文が確定した場合の目安で、土日祝は注文が確定されません。早く手元にパソコンが欲しい場合は注意しましょう。
DAIV FX-A5G60 デメリット
・Ryzen 3000番台のコスパは消えた
・カスタマイズがあまり選べない
・随所にみられるコストダウン
デスクトップにありがちですが関連デバイス(マウスやキーボード)は付属しません。当然ながらモニターも自分で用意しないといけないため結果的にコストが高くつく可能性があることは覚悟しましょう。
かつてのRyzen3000番台のようなコスパは消えてしまいましたが、性能も上がっているのでトレードオフといったところでしょうか。普及率も上がってきた今では「安くする理由がない」とRyzenは考えているのかもしれません。
SSDの転送速度、電源の品質に関しては価格を考えたら惜しいと思います。もう少し高いグレードのパーツを採用して、メーカーの良心、マインドを見せて欲しかったところです。
直近でレビューした中だとドスパラが販売している「raytrek 4CZF」も魅力的です。Core i9-13900KF×RTX4070で価格は33万円ほどです。CPU性能が高くなりますし、価格もちょっと高いくらいです。
DAIV FX-A5G60はこんな人におすすめ
- ほどよく高性能なモデルが欲しい人
- DAIVのデザインに惚れた人
- ゲームも快適に遊びたい人
- 写真家、ゲーマー、動画クリエイターなど
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
DAIV FX-A5G60シリーズの感想まとめ
DAIV FX-A5G60をレビューしてきました。
Ryzen 5 7600Xが思った以上のパフォーマンスを見せてくれたのが好印象でした。従来のRyzen 7 5800XやインテルCPUにも負けているという印象はもちません!RAW現像、動画編集といった作業でもしっかりと結果を出せています。ただしお値段はちょっとお高めです。
マウスコンピューターは国内生産ですし、サポート体制や、アフターフォローも手厚いので万が一のトラブルの時にも誠心誠意対応してもらえるだろうという期待感がもてますから安心です。
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