ドスパラ様よりインテルと共同設計したGALLERIA GCR2070RGF-QCをレビューします。(機材貸出元:株式会社サードウェーブ)
ノートパソコンでありながら高性能なグラフィックを搭載し、映像処理能力を高めてあります。15.6型ながら重量は1.87kgと軽く、場所に関係なくゲームやクリエイティブ作業を楽しむことができます。
それでは、各ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像、動画編集にかかった時間などを含めて実機レビューしていこうと思います。
目次
GALLERIA GCR2070RGF-QCの性能
公式HP:https://www.dospara.co.jp
ドスパラのGALLERIA GCR2070RGF-QCは、ゲーミングモデルとして販売されています。
CPUにはCore i7-9750Hが採用、ベースとなるCPUの処理能力が高いと安心感があります。ボトルネックを感じることはまずなく、快適さを手にすることができます。グラフィックはRTX2070 MAX-Qなので、おそらく4K解像度の映像処理なんかにも対応できるはずです。
駆動時間は10時間にせまるほどで、長時間パフォーマンスを維持できる点はモバイルシーンが多いユーザーにも嬉しい。学校や会社、カフェやホテルのロビーまで場所を選ばずに使えるというのは有難いですね。しかも薄型で軽量、スペックチェックの時点でもほぼパーフェクトなノートパソコンだと言えるでしょう。
ちなみに本機にはGTX1660Tiを採用した「GALLERIA GCR1660TGF-QC-G」という弟分がいます。こちらはフルHDクラスの画質に対応できるグラボなので、「4K必要ないよ」って人は用途に合わせて選択できます。
ラインナップを確認してみましょう。
GALLERIA GCRシリーズのラインナップ
※表は記事執筆時の内容で、変更になる可能性があります。
今回紹介するインテル共同設計のプレミアムノートは、人気ランキングの2位と3位に食い込む。完成度の高い製品だけに人気の高さもうなずけます。
1位の「GCR1650GF」は、Core i5-9300H×GTX1650と性能はやや控えめ、メモリも8GBと少ないのでクリエイト用途はやや厳しい。メモリを16GBに増設してやれば、写真やイラストなども快適に扱えそうな気がします。
今回紹介するGCR2070RGF-QC-Gは、同じグラフィックを搭載したラインで数万円安いモデルもあります。価格差的にも悩ましいところですが、それでも本機を選ぶメリットがあると多くのユーザーが判断していることがわかります。
その辺りの理由もじっくり読み解いていこうと思いますので、楽しんで読み進めていただけると幸いです。
GALLERIA GCR2070RGF-QCのスペック
テストで使ったモデルの詳細はこちらです。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i7-9750H) |
グラフィックス | GeForce RTX 2070 MAX-Q |
メモリ | 16GB(カスタマイズ不可) |
SSD | 1TB NVMe SSD |
駆動時間 | 約10時間以上 |
液晶 | 15.6型フルHDノングレア(144Hz) |
サイズ | 356.4(幅)× 233.66(奥行き)20.5(高さ 最薄部) mm |
重量 | 約 1.87kg |
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
CPU Core i7-9750Hの性能
搭載されているCPUは第9世代のCore i7-9750Hです。6コア12スレッドのCPUで、通常は2.6GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大4.5GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-9750H | 13740 | 2.6GHz(4.5GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-8750H | 12573 | 2.2GHz(4.1GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i5-9300H | 9673 | 2.4GHz(4.1GHz) | 4コア8スレッド | 45W |
Core i7-9750Hの性能はノートパソコンとしては最高峰にあたります。これだけ高性能なCPUを搭載しておきながら、長時間のバッテリー駆動を実現したのは本当にすごいと思います。
写真編集や動画編集においてもサクサク動作しますし、ノートパソコンを求めるユーザーの90%くらいは不満を感じないはずです。これ以上を求めてしまうと必然的にデスクトップになります。
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU-Zによるスコアは以下の通りです。
シングルスレッドのスコアが512.3、マルチスレッドが3556.1となりました。参考までに、僕がこれまでにテストした結果を表にしてみました。
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i7-9750H |
512.3 | 3556.1 |
Core i7-8750H | 476.1 | 3482.7 |
Core i7-7700HQ | 396.1 | 1976.6 |
Core i7-8700K | 508.5 | 3811.7 |
1世代前のCore i7-8750Hと比較すると、およそ10%ほどの性能アップになりました。デスクトップCPUのCore i7-8700と比較しても良い勝負。デスクトップに負けない処理能力を有すると考えると、とても魅力的・・・
CINEBENCHによるベンチマークスコア
CINEBENCHによるスコアは1060でした。
CPU | スコア |
Core i7-9750H |
1060 |
Core i7-8750H | 1026 |
Core i7-7700HQ | 723 |
Core i7-8700K | 1402 |
ここではデスクトップ用CPUのCore i7-8700Kに大きく差をあけられてしまいました。とは言え、モバイルCPUにしては十分すぎるスコアです。2世代前のCore i7-7700HQと比較すると30%近くも性能が向上しています。
より快適性を求める上では、高性能なCPUははずせません。Core i7-9750Hを搭載した本機はクリエイティブ用途目的でも親和性があると感じます。
ストレージ性能
Cドライブは1TB NVMe SSD搭載で、読込速度は1900MB/s, 書込速度 1777MB/sと爆速。
容量、速度ともにプレミアムノートに恥じない仕様ですし、サクサク機敏に動いてくれるので気持ちが良いです。
HDDだと読み込み速度はよくても200MB/s程度で、およそ1/10の速度しかありません。
GeForce RTX2070 MAX-Qのグラフィック性能・ゲームスコア
GALLERIA GCR2070RGF-QC-Gに搭載されているグラフィックはGeForce RTX2070 MAX-Qです。
MAX-Qは薄型、省電力化に成功したグラボなので、性能は若干落ちてしまいます。RTX2070だと現環境においては、ゲームや4K動画編集も快適とされているので、その辺りがどう影響してくるのか?チェックします。
CINEBENCHのベンチマーク
結果は99.44fpsでした。思ったよりも低めのスコアだと感じました。
以前テストしたGeForce RTX2060では108fps程度出ていました。MAX-Qとは言え、RTX2070は一応上位クラスになるのでもう少し頑張ってほしかったところです。GTX1650でも117.68fps出たことがあるので、この結果はあまり気にせずに参考程度にとどめておいたほうが良いかもしれません。
FF15(重たいゲーム)のベンチマーク
標準品質 | 3840×2160 | 重い(2007) |
1920×1080 | やや快適(5343) |
重たいゲームの代表格であるファイナルファンタジーのベンチ結果です。正直に言って、ここでもふるわない結果となりました。
RTX2070をうたうなら、4K解像度で普通くらいの結果を見せてほしかったのですが・・・結果は重い。ベンチテストを繰り返したとは言え、ちょっと物足りません。
GTX1060やGTX1650に近い結果に終わってしまいました。4Kが難しいとなると、本命はGTX1660Tiを搭載した「GALLERIA GCR1660TGF-QC-G」のほうになるのかもしれません。
RAW現像にかかる時間は?
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「5分30秒」でした。
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の表示も速く、編集を当てても一瞬なので快適でした。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | A機 | B機 |
Core i7-9750H |
5分33秒 | 5分35秒 |
Core i7-8750H | 5分53秒 | 6分32秒 |
Core i7-7700HQ | 7分34秒 | 7分22秒 |
Core i7-8700 | 6分18秒 | 5分31秒 |
RAW現像に関しては、処理が速く満足のいく結果に終わりました。
どちらかと言うとCPU依存の高い作業なので、Core i7-9750Hの性能がしっかり発揮できた結果が見られて安心しました。
旧モデルCPUよりも短縮化に成功、デスクトップCPUと比較しても遜色ないのは大きなメリットだと思います。
動画の書き出しにかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約6分25秒でした。データ容量は3.67GBです。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
書き出しの時間は、少しかかってしまった印象。やはりグラボが必要な作業では思うような性能が発揮できていないように感じます。
Core i7-9750×RTX2060を搭載した、DAIV-NG5800だと5分14秒で作業が終わります⇒DAIV-NG5800のレビューはこちら
とは言え、Resolveを使っての色調整を含めた編集作業は4Kでも問題なく行えました。書き出しのような高負荷が継続的にかかる状態にあるのは苦手という感じですかね。メモリも16GBだと少し物足りないですが、カスタマイズもできないので注意が必要。
×264 FHD BENCHMARKによるスコア
x264 FHD BENCHMARKでは「スコアが40.6」「エンコード時間が1分02秒」という結果になりました。参考までにCore i7-8750Hだと「スコアが33.7」「エンコード時間が1分14秒」です。CPU系のベンチテストは安心して見ていられます。
PCMARK10のスコア
PCMark10 score | Essentials | Productivity | Digital Content Creation |
5069 | 9155 | 6649 | 5808 |
- Essentials:基本的な性能を測定
- Productivity:office系の性能を測定
- Digital Content Creation:写真・動画編集などの性能を測定
結果は5069で、プレミアムノートをギリギリうたっても許されるかな・・・という印象。正直に言うともう少し性能面で魅せてほしかった気がします。
つまるところ、当モデルはゴリゴリの作業に使うのではなく、あくまでもカジュアルに持ち出しながら使うのが最適なモデルなんだと感じます。モバイル環境での動画編集など、従来のノートパソコンでは対応しづらかった用途にも、ちょっとは対応できるよというのが立ち位置かと。
パソコンはうるさい?静音性は?
負荷のかかるシーンではファンはそれなりの音がします。音がしているということはしっかり冷却されているということなので、なにも邪険に扱う必要はありません。
とは言え、負荷がかかった場合の音は気になるので、個人的にはカフェなどでのクリエイト作業には使いにくいかなと感じます。
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。ドスパラは翌日出荷に力をいれているので、当モデルも基本的には翌日出荷です。スタイリッシュなパソコンがすぐ手に入るというのはうれしいですね!
GALLERIA GCR2070RGF-QCを開封!
性能面の話が続きましたが、ここからは外観やデザインなどを含めて使ってみた感想に移りたいと思います。
※一部前モデルの写真を活用しておりますがご了承ください
GALLERIA GCR2070RGF-QC-Gの外観写真
梱包箱です。特段美しい装飾がほどこされている訳ではありませんが、高性能ノートパソコンが本当に入っているのか?と思うほどコンパクトです。
不織布につつまれて登場。シルバー基調でサラサラとした筐体です。
薄型ながら剛性の高いマグネシウム合金を採用しているので、安っぽいような印象は受けません。むしろ高級感があるほうだと感じます。ただし指紋はちょっとつきやすい。
でもサッと拭いてあげればご覧の通り。
メーカーの発表によると、従来に比べて15%ほど厚みを抑えることに成功したとか。15.6型は2kgを超えるパソコンが多いなか、本機は1.87kgと軽量になっています。
このくらい軽ければ、積極的にモバイルしたくなるのが人間。ハイエンドな仕様ながら約10時間のロングライフを実現しています。
せっかく色々な環境で使えるのだから、ゲーミングっぽいロゴも小さくするか思い切ってなくしても良かったかもしれませんね。
ACアダプターは巨大です。
性能を引き出すためとはいえ、これと一緒に持ち出すのは骨がおれるはず。バッテリーが長持ちするとは言え、ACアダプターを持ち出すことが避けられない日もあるはず。そういう点では、モバイル性は低くなるのがもったいない。
液晶部はおどろくほど薄く、指一本で開閉できるほどスムーズです。
ベゼルもほぼないので、映像に集中することができます。ゲームや映像編集など、集中力が欠かせない作業に没頭できるのは良いです。
キーボードは独自配列
キーボードはメカニカル式と同等の打鍵感で、耐久性が高い素材を採用。RGB-LEDによって配色を自由に設定可能になっています。チープな印象は全くうけません。
配列が独特でEnter横に、縦一列ボタンが用意されています。また無変換もなぜかスペースの右側に来ています。
端にEnterがないのは気がかりでしたが、それほどタイピングに影響が出ることはなかったです。むしろEnterだけ打ち心地がやや硬いのが気になりました。押せてるかわからないので、二度押したらタイプミスになったりと・・ややストレスがかかる場面も。
トラックパッドは広く、マウス無しでもそれなりに快適に作業を終えることができました。
GALLERIAのインターフェース
インターフェースも充実しており、HDMIやUSB3.1、Type-C(Thunderbolt3対応)、マルチカードリーダーと一通りそろっています。
Thunderbolt3は40Gbpsの高速通信に対応していますし、Wi-Fiも次世代規格のWi-Fi 6を搭載しています。ゲームでは避けたい遅延などを防ぐ意味でも、これらの高速通信があるというのは大きなポイントでしょう。
GALLERIAのデメリット
・グラフィックが性能を発揮しきれていない
・ACアダプターが大きくモバイル性が削がれる
・メモリのカスタマイズに非対応
触ってみるまでは万人受けしそうな製品だと感じましたが、少し使い込んでみると色々なことが見えてきました。
一般的なモデルに比べるとはるかに高性能ではありますが、グラフィックの性能が活かし切れていないのは気になります。またスタイリッシュなボディに似合わない、遠慮のないACアダプターも似つかわしくないと感じました。
4K解像度などの重量級のデータを扱えるスペックなのに、メモリのカスタマイズが非対応というのもちょっと残念。せめて32GBが選べたら、より幅が広がると思います。
GALLERIA GCR2070RGF-QCはこんな人におすすめ
- カジュアルにややタフな作業もこなせるPCが欲しい人
- RAW現像や動画編集に使いたい人
- デザイン性に優れたノートPCが欲しい人
- 満足度の高いモデルが欲しい人
- 急ぎでパソコンが必要になった人
公式HP:https://www.dospara.co.jp
GALLERIA GCR2070RGF-QCの感想まとめ
GCR2070RGF-QCを開封しながら、様々なテストを行ってきました。
Core i7-9750H×RTX2070MAX-Qで高いパフォーマンス、本体自体は軽量で持ち運びしやすいこと、カジュアルだけどややタフな作業にも耐えられることから、非常に使い勝手の良いノートパソコンだと感じました。
インテルと共同設計のプレミアムノートというのは伊達ではありません。デザインも使い心地も良いので、満足度が得られるノートパソコンだと思います。RAW現像もいたって快適です。
ただ、残念なことにRTX2070 MAX-Qに期待しすぎると思わずしっぺ返しをくらってしまう可能性も含んでいると感じました。今回のテスト結果を見る限りは、4K動画や最新ゲームなどの重量級データを扱うには物足りないのが本音です。
もしもフルHDクラスの画質を扱うので事足りるのであれば、弟分のGALLERIA GCR1660TGF-QCのほうがコストを抑えられます。個人的には本命はコッチのように感じました。レビューはこちら→GALLERIA GCR1660TGF-QCをレビュー
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