RAW現像や写真・動画編集をするなら「メモリはつめるだけつんどけ」と耳にすることがあると思います。でも「実際にどれくらいの容量があれば充分なの?という話は意外と聞かないものです。
「16GB」「32GB」でどのくらい快適さが変わるのか?を実際にパソコンを使ってテストしてみました。そもそもメモリってどういった働きをしているのか?がわからない人もいると思うので、基本的な規格などの話をしつつおすすめのメモリ容量をお答えしていきます。
目次
メモリってそもそも何?
パソコンはいくつもの部品で出来上がっていますが、メモリもそんな欠かせないパーツの1つです。メモリは主記憶装置という意味で、一時的な処理を記憶・処理する役割をになっています。CPUやHDD、SSD、グラボといったパーツ間のつなぎ役といったところでしょうか。
メモリはよく「机」や「まな板」に例えられます。実際に作業をするときは大きい作業台のほうが仕事が捗りますよね?それと同じようにメモリも多い方が処理が早くなると考えられているのです。
メモリが少なくなると処理に時間がかかってしまって、パソコンの動作が重たいという現象にも出くわします。ソフトがなかなか立ち上がらない、画面がカクカクするという場合はメモリが原因で起きている可能性だってあるのです。
メモリが多いと1つの処理を速くできるだけでなく、複数の処理も快適になります。だから「メモリは搭載できるだけ搭載しろ」という話が生まれます。
他のパーツの選び方がわからない人はこちらも参考にしてください。
メモリの規格
2018年現在のメモリの規格は、以下の2つが主流となっています。
- DDR3
- DDR4
DDR4のほうが新しい規格なので、これからパソコンを買おうと思っている人はこちらの規格のものを購入することになります。注意しないといけないのは、DDR3とDDR4に互換性がないということです。
なので古いパソコンからメモリだけを載せ替えしようとしても、マザーボードに取り付けれない場合があるということです。メモリには相性もあるので、たとえ同じ規格でもメーカーや種類が違ったりするとうまく動作しないこともあります。
購入時にメモリ容量を決めておくことは「互換性」「相性問題」を防ぐ意味でも重要です。
チャンネルの違い(シングル・デュアル・クアッド)
メモリを効率的に使うための方法は容量を増やすだけではありません。その方法とは「チャンネル」です。
例えば16GBのメモリ容量があったとします。メモリを16GBにするためには「16GBが1枚」「8GBが2枚」「4GBが4枚」がそれぞれ必要になりますよね。1枚挿しのことを「シングルチャンネル」、2枚挿しのことを「デュアルチャンネル」、3枚挿しのことを「クアッドチャンネル」と呼びます。
チャンネルが多いほど高速になりますし、1枚あたりのメモリ容量が下がって価格も安くなるというメリットがあります。8GBだとシングル、16〜32GBあたりのメモリだとデュアルチャンネルが多いです。
メモリの速度のお話
次に頭に入れておきたいのが「メモリの速度」のお話です。一口にメモリといっても種類があって「チップ」と「モジュール」の規格で転送速度が変わってきます。CPUやHDDなどのデータをやりとりする速度に左右しますので、処理速度を求めるなら高性能なメモリを選びましょう。
モジュール規格 | チップ規格 | 転送速度 |
---|---|---|
PC3-12800 | DDR3-1600 | 約12.8GB/s |
PC3-14900 | DDR3-1866 | 約14.9GB/s |
PC4-19200 | DDR4-2400 | 約19.2GB/s |
PC4-25600 | DDR4-3200 | 約25.6GB/s |
PC5-38400 | DDR5-4800 | 約38.4GB/s |
PC5-44800 | DDR5-5600 | 約44.8GB/s |
PC5-51200 | DDR5-6400 | 約51.2GB/s |
メモリは普段インターネットをしたり、メールをするといった使い方で違いを体感するのは難しいパーツです。しかも基本的にパソコンを選ぶ段階で搭載されているメモリが決まっています。あんまり重要視しなくてもいいんじゃ?と思うかもしれません。
しかし数字的にはDDR4-32000」とDDR5-6400では2倍くらいの差がついています。
RAW現像や、動画のレンダリングといった処理能力を求められる作業には高性能かつ大容量なメモリが必要ということです。
メモリ容量による違いをテスト
テストに使ったパソコンはデスクトップの「DAIV-DGZ520H1-SH2-RAW」と、ノートPCの「DAIV-NG5500H2-M2SH2」です。搭載されているパーツも違うので、正当な比較とは言えないかもしれませんが参考にはなると思います。
条件が近かったり、全く違うパソコンを使う機会があれば、随時更新していきます。
16GBと32GBでRAW現像
一眼レフで撮影したRAWデータ約150枚を一括変換したときにかかった時間を比較します。無料ソフトの「RawTherapee5.4」を使って、JPEG品質は90%、高画質での変換です。
DAIV-NG5500H2-M2SH2 | DAIV-DGZ520H1-SH2-RAW |
16GB | 32GB |
PC4-19200 / DDR4-2400 | PC4-19200 / DDR4-2400 |
5分56秒 | 5分31秒 |
150枚くらいの一括変換なら30秒程の差です。しかし枚数が300なら1分、3000枚なら10分、10000枚なら30分と、データ量が増えるほど違いが生まれます。多くのデータを処理する人ほど、大容量メモリで時間の節約が可能になります。
16GBと32GBで4K動画編集
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間を計測してみます。使用した動画編集ソフトはDAIVが推奨パソコンを販売している「Resolve」です。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
DAIV-NG5500H2-M2SH2 | DAIV-DGZ520H1-SH2-RAW |
16GB | 32GB |
PC4-19200 / DDR4-2400 | PC4-19200 / DDR4-2400 |
4分30秒 | 3分27秒 |
動画は搭載されているグラボにも大きく左右されるので、GTX1070Tiを搭載しているデスクトップのほうが圧倒的に処理が速く終わりました。(ノートはGTX1050)メモリの容量も大なり小なり影響しているはずです。
やはり大容量、高負荷な作業をする人ほど、高性能なメモリを選ぶのがおすすめと言えそうです。
カスタマイズにかかる費用
マウスコンピューターのメモリカスタマイズの料金です。8GBを16GBにした場合は、1万円強の費用が発生します。どのBTOショップを見てもほとんど同じ価格です。
「オススメ」の文字がある場所を見ると、容量の違いだとわかります。違う見方をすると規格に関してはさほど重要視していないという受け取り方もできます。僕も同じ意見で、メモリ容量は重視してコストをかけるけど、規格は予算に余裕がる人だけでいいかなと思います。
理由は体感レベルでまずわからないからです。比較テストをしてやっとわかるくらいの違いなら、別のところにコストをかけたほうが幸せになれるはずです。
まとめ
・大容量のデータを処理するならメモリは多い方が良い!
・頻繁に高負荷な処理をしないのであれば16GBがコスパ良し!
実際に比較してわかった部分はありましたが、僕の用途で普通に使っているだけではメモリによる違いはわからなかったかもしれません。クリエイターモデルで人気があるのが16GBというのもなんとなく頷ける結果になりました。
このように一般的用途なら16GBで充分でしょうし、32GB以上が必要だと感じる人は毎日のように写真や動画のデータを扱う人だと思います。実際にマウスコンピューターの「DAIV」の人気ランキングを見ると全て16GBメモリ搭載モデルです。デスクトップも同様に16GBメモリのものがランクインしています。
「みんなが選んでいるのは16GBメモリ」ということを考えると、おすすめ容量は16GBということになります。待機やカクつきというストレスは避けて、複数処理も快適にこなせることからこの容量が選ばれているのでしょう。
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