新世代Ryzen CPUの性能差をチェックします。
対象は「Ryzen 7 5800X」と「Ryzen 5 5600X」を比較していきます。ベンチマークやRAW現像、動画編集にどれくらいのちがいがあるのかを見ていきます。
Ryzen 9やCore i7などのCPUにも比較対象として登場してもらっていますので、参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
Ryzen 7 5800X vs Ryzen 5 5600X
解説に入っていく前に「CPUの見分け方や意味がわからない」という人がいれば、「CPUの選び方(スコア)」という記事を参考にしてください。
当記事で掲載されたスコアは性能を約束するものではございません。
CPUスコア(PASSMARK)性能一覧
スコアはPASSMARKが公開しているデータを参考にしています。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Ryzen 7 5800X | 28493 | 3.8GHz(4.7GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 5600X | 22161 | 3.7GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 7 3700X | 22742 | 3.7GHz(4.3GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 9 3900X | 32860 | 3.8GHz(4.6GHz) | 12コア24スレッド | 105W |
Core i7-11700 | 21469 | 2.5GHz(4.4GHz) | 8コア16スレッド | 95W |
Core i7-10700 | 17632 | 2.9GHz(4.8GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 7 5800XとRyzen 5 5600Xのスコアを比較してみると約28%ほどのスコア差です。
さすがに上位モデルなだけあって無視できない性能差になっていると感じます。Ryzen 7 5800Xは発熱を除けば非常に優秀なCPUで、ゲームやクリエイト系作業への適性もアップしています。
ライバルのインテルと比較すると、Ryzen 5 5600XがCore i7-11700あたりに匹敵するのも着目してほしい点です。スコアだけでも非常に優秀なのが伝わってくるRyzen CPU・・・両社のちがいをもう少し掘り下げましょう。
比較に使ったパソコン
名前 | G-Tune EP-A | GALLERIA XA5R-67XT |
画像 | ||
CPU | Ryzen 7 5800X | Ryzen 5 5600X |
GPU | RX6700XT | RX6700XT |
メモリ | 32GB | 16GB |
SSD | 1TB SSD+4TB HDD | 1TB SSD |
レビュー | >レビューを見る | >レビューを見る |
今回の比較は、マウスコンピューターとドスパラからゲーミングパソコンをお借りして行います。
ベンチソフトによる性能比較
ここからは、実際に僕がテストした数値を公表しながら性能差を見ていきたいと思います。
CPU-Zによるスコア
Ryzen 7 5800X
Ryzen 5 5600X
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Ryzen 7 5800X | 669.4 | 6739.4 |
Ryzen 5 5600X | 645.4 | 4873.0 |
Ryzen 7 3700X | 523.0 | 5565.5 |
Ryzen 9 3900X | 525.5 | 8151.9 |
Core i7-10700K | 568.8 | 5629.0 |
Ryzen 7 5800Xが優れているのは確かですが、シングルスレッドでは約4%に留まり、マルチスレッドでは約38%も高くなっています。
マルチ性能を重視するかどうかが選択の分かれ目といった印象です。動画編集などの作業を頻繁に行うのであればRyzen 7 5800Xを選択したいところですが、RAW現像やゲームがメインということであればRyzen 5 5600Xで事足りるかもしれません。
CINEBENCH R20のスコア
Ryzen 7 5800X
Ryzen 5 5600X
CPU | シングル | マルチ |
Ryzen 7 5800X | 621 | 5993 |
Ryzen 5 5600X | 599 | 4233 |
Ryzen 7 3700X | 504 | 4822 |
Ryzen 9 3900X | 516 | 7160 |
Core i7-10700 | 492 | 3564 |
CINEBENCH R20のスコアでも傾向は変わらずです。シングル性能は約4%、マルチ性能は約42%高くなりました。
Ryzen 75800XとRyzen 5 5600Xは、シングル性能で約5%、マルチ性能で約40%ということに落ち着きそうです。
RAWの一括変換にかかった時間を比較
RAWの一括変換にかかった時間を測定するために、一眼レフで撮影した150枚(5GB)の写真を現像します。
CPU | 処理時間 |
Ryzen 7 5800X | 3分46秒 |
Ryzen 5 5600X | 3分55秒 |
Ryzen 7 3700X | 4分28秒 |
Ryzen 9 3900X | 4分52秒 |
Core i9-11900K | 3分56秒 |
Core i7-10700K | 4分30秒 |
RAW現像を行ったところ両社の差はわずか10秒ほどに収まっています。趣味での編集作業はもちろん、毎日RAW現像を行うプロであっても明確な差を感じられるほどではないと思います。
Ryzen 5 5600Xにすることで消費電力や発熱を抑えられるメリットもあるので、処理能力だけで考えずにシステムのバランスを見ることも重要そうです。ちなみに僕は性能重視でRyzen 7 5800Xを選択しましたが、かなり発熱に苦しんでいます(苦笑)
動画のレンダリングにかかった時間を比較
一眼レフで撮影した5分間の4K動画のレンダリングにかかる時間を計測しました。使用した動画編集ソフトはResolveです。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Ryzen 7 5800X×RX6700XT | 3分02秒 |
Ryzen 5 5600X×RX6700XT | 4分04秒 |
Ryzen 7 3700X×RTX3060 | 3分26秒 |
Ryzen 9 3900X×RTX2070S | 2分56秒 |
Core i9-11900K×RTX3070Ti | 3分24秒 |
Core i9-10900K×RTX3080 | 3分02秒 |
Core i7-10700K×RTX2070S | 3分34秒 |
動画編集においてはRyzen 7 5800Xの強さは印象的ですね。簡単な比較で1分以上の差がついているので、これが日常的になってくれば大きな差へとなっていくでしょう。Ryzen 7 5800Xにすることで業務に時間や余力が生まれるくらいだと思います。
動画編集を頻繁に行うかどうかがRyzen 7 5800XかRyzen 5 5600Xを選ぶかの最重要ポイントかもしれません。
Ryzen 7 5800X vs Ryzen 5 5600X まとめ
・Ryzen 7 5800Xがシングル約5%、マルチ約40%高性能!
・シングル性能に明確なちがいはない!
・マルチ性能こそが両社を選ぶポイント!
・動画編集を行うならRyzen 7 5800X!
ベンチ結果では、ハッキリとした性能差がついたもののシングル性能はそこまで顕著な差が見られません。
RAW現像などでは処理時間に大幅な差もなく、動画編集を行うかどうかやシステムのバランス(静音性を重視するか)などが両社を選ぶポイントになりそうです。個人的には予算に余裕をもたせてRyzen 7を選択しましたが、今になって「Ryzen 5にしておけばよかったな・・」と思うこともしばしばあります。それくらい悩ましい選択です(笑)
もしもコストパフォーマンスやマルチ性能を重視するなら、Ryzen 9 3900Xあたりもダークホース的な存在です。
おすすめパソコン
G-Tune EP-A
今回のテストでは良好な結果を示したRyzen 7 5800Xが採用されています。グラボの性能も高くゲームや動画編集をしっかり楽しむことができます。またRAW現像や動画編集も没頭できるパフォーマンスで、ストレスなく作業ができるのが特徴です。
ドスパラ GALLERIA XA5R-67XT
新筐体を採用したドスパラのデスクトップです。結果的にはRyzen 7 5800Xに破れましたが、Ryzen 7 3700Xの人気は根強いです。その証拠にドスパラではこのモデルが長く売れ筋ランキングに入っていました。税込みで18万円台ですので、なんとか20万円以下に抑えたい人にはおすすめですね。
マウスコンピューター DAIV A7
Ryzen 5 5600XとRTX3060の構成で、マルチ性能をしっかり生かした作業を行うことが可能。メモリにも余裕があるところがいかにもクリエイターモデルという印象ですよね。無骨なボディはデスクトップでもトップクラスにカッコいいですし、マウスコンピューターは国産生産、手厚いアフターサービスも魅力です!
フロンティア GAシリーズ(台数限定モデル)
CPU | Ryzen 5 5600X |
メモリ | 16GB |
グラボ | GeForce RTX 3060 |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
フロンティアの台数限定セール対象のGAシリーズです。この構成で15万円台とセール対象品なだけあって価格はマウスコンピューターやドスパラよりもお安くなっています。売り切れても補充が入ることがあるので、定期的にチェックすることをおすすめします!
ドスパラ GALLERIA ZA7R-R37
Ryzen 7 5800X×RTX3070の組み合わせで、高解像領域でも安定した性能を発揮できるのが特徴。税込26万円台は高いですが、それでも現実的な価格です。最高クラスのゲーミング環境を構築したい人にはおすすめですね!
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