ノートパソコン向けの「Core i7-12700H」と「Core i7-10750H」の性能を比較します。
どちらもスタンダード的な位置づけではありますが、第12世代インテルCPUは性能が大きく向上しているため処理能力に大きな期待がもてます。実際にベンチマークを行い、RAW現像や動画編集での差を比較していきます。
ライバルのRyzen CPUや、ここ最近主流となっているCPUも登場しますので参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
Core i7-12700H vs Core i7-10750H
解説に入っていく前に「CPUの見分け方や意味がわからない」という人がいれば、「CPUの選び方(スコア)」という記事を参考にしてください。
当記事で掲載されたスコアは性能を約束するものではございません。
Core i7-12700Hのポイント
- コードネーム「Alder Lake」
- 14コア20スレッドでデスクトップ並みの処理を実現
- ハイブリッドアーキテクチャを採用
Core i7-12700Hは一般向けモデルの中でも上位向けのCPUで、処理能力が必要とされるクリエイトやゲーミング向けモデルに採用されているCPUになります。
第11世代との大きなちがいは、ハイブリッドアーキテクチャを採用している点。これは高性能コアと高効率コアの2種類をブレンドしたもので、処理に合わせてパフォーマンスを引き上げたり、省電力に振ったりといったことを行ってくれるものです。
また旧世代と比較するとコア数も増加しているので、単純に高性能化していると理解してもらえたら大丈夫だと思います。その処理能力はデスクトップに引けを取らないほどで、多くのクリエイターにとって武器になりえるCPUです。
Core i7-12700Hの性能(スコア)は?
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-12700H | 27581 | 2.3GHz(4.7GHz) | 14コア20スレッド | 45W |
Core i7-11800H | 21794 | 2.3GHz(4.6GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10875H | 15812 | 2.3GHz(5.1GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10750H | 12688 | 2.6GHz(5.0GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i5-10300H | 9501 | 2.5GHz(4.5GHz) | 4コア8スレッド | 45W |
Core i7-9750H | 11600 | 2.6GHz(4.5GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-8750H | 10516 | 2.2GHz(4.1GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-11700 | 21469 | 2.5GHz(4.4GHz) | 8コア16スレッド | 95W |
Core i7-12700Hはデスクトップに負けないほど処理能力が高く、Core i7-10750Hと比較すると約2.5倍も性能を伸ばしています。
Core i7-10750Hは決して悪いCPUではありませんが、世代差でまさかこれほどの差がつくとは・・・と言う感じです。これは「どちらのCPUにするか悩む」というレベルではなく「Core i7-10750HからCore i7-12700Hへ乗り換える」レベルの伸びだと感じます。
比較に使ったパソコン
名前 | GCL2060RGF-T | raytrek R5-AA6 |
画像 | ||
CPU | Core i7-10750H | Core i7-12700H |
GPU | RTX 2060 | RTX3060 |
メモリ | 16GB | |
SSD | 512GB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD |
レビュー | >レビューを見る | >レビューを見る |
今回は、ドスパラが販売するノートパソコンを用意。全体的に旧世代が不利な比較ではありますが、逆にどれくらい進化しているかを理解する良い機会だとも言えます。
ベンチマークソフトによる比較
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i7-12700H | 748.5 | 6416.2 |
Core i7-11800H | 621.3 | 5381.9 |
Core i7-10870H | 543.1 | 4754.4 |
Core i7-10750H | 503.1 | 3169.5 |
Ryzen 7 5800H | 580.7 | 5731.2 |
Ryzen 5 5600H | 558.6 | 4256.8 |
Core i7-12700Hのシングルスレッドスコアが748.5、マルチスレッドが6416.2となりました。
Core i7-10750Hと比較すると、シングル性能で約49%、マルチスコアで約200%も性能がアップしています。クリエイトやゲーミング領域でより結果を出すなら選ぶCPUは明白でしょう。
Core i7-10750Hでも一般クラスの処理、フルHD動画編集などは問題なく行えましたが、個人的にはどちらか選べるならCore i7-12700H一択という感じがします。
CINEBENCH R20によるベンチマークスコア
CPU | シングル | マルチ |
Core i7-12700H | 700 | 5316 |
Core i7-11800H | 581 | 4162 |
Core i7-10870H | 490 | 3869 |
Core i7-10750H |
465 | 3089 |
Ryzen 7 5800H | 558 | 4691 |
Ryzen 5 5600H | 528 | 3607 |
CINEBENCH R20でだとCore i7-10750Hに比べてシングル性能は約50%、マルチ性能は約172%もアップしています。
CPU世代が変わったときに目安として10~20%ほど性能があがっていると「順当な進化」といった感じです。第11世代→第12世代はCPU自体の作りも変更になったこともあり性能アップが顕著です。第12世代CPUの登場により、パソコン更新には絶好のタイミングと言えるでしょう。
RAW現像にかかる時間は?
無料現像ソフトの「RawTherapee」で約150枚(5GB)のRAWデータの一括変換を行いました。
CPU | 処理時間 |
Core i7-12700H | 3分42秒 |
Core i7-11800H | 4分13秒 |
Core i7-10870H | 4分54秒 |
Core i7-10750H |
5分10秒 |
Core i7-11700 | 4分16秒 |
Ryzen 7 5800H | 4分42秒 |
Ryzen 5 5600H | 4分23秒 |
RAW現像の差も大きく、Core i7-10750Hよりも1分30秒近く処理を終えています。
Core i7-10750Hだと扱うデータ内容によって様子を見ながらという雰囲気もありましたが、Core i7-12700Hならどんなデータも快適に処理が行えるでしょう。カメラマンのメインパソコンとしても十二分に活躍してくれると思います。
動画編集の時間を計測
一眼レフで撮影した5分間の4K動画のレンダリングにかかる時間を計測しました。使用した動画編集ソフトはResolveです。
モデル | 構成 | 処理時間 |
raytrek R5-AA6 | Core i7-12700H×RTX3060 | 3分20秒 |
G-Tune E5-165 | Ryzen 7 5800H×RTX3060 | 4分13秒 |
GALLERIA XL5R-R36 | Ryzen 5 5600H×RTX3060 | 5分01秒 |
DAIV 5P | Core i7-11800H×RTX3050 | 4分15秒 |
GCL2060RGF-T | Core i7-10750H×RTX2060 | 5分51秒 |
Core i7-12700H×RTX3060の組み合わせはさすがに強いですね。3分台というのは本当にデスクトップ並みの処理時間だったりします。一方のCore i7-10750H×RTX2060の組み合わせだと4K動画を扱うのは割とギリギリという感じですね。
高解像データ編集を行わないのであればCore i7-10750Hも選択肢に入るとは思いますが、よほど大きな価格差などがない限りはCore i7-12700Hを選ぶので間違いないと思います。
Core i7-12700H vs Core i7-10750H まとめ
・第12世代が最大で2.5倍も高性能
・実行タイムでも大きな差が出る
・Core i7-12700H一択と言って良い状態
結論から言うと、Core i7-12700Hを選べば間違いないような状態です。各種ベンチテストの結果でも大きな差が出ていますし、Core i7-10750Hを今から選択するメリットは少ないと言えるでしょう。
高度な編集作業を行わない前提ならCore i7-10750Hを選ぶ道も見えてきます。例えば趣味でたまにRAW現像を行う程度とか、フルHDクラスの動画編集しか行わないといったライトユーザーです。旧世代になるともちろん価格も下がりますので安く手に入れたいなら検討の余地ありでしょうか?
ちなみに記事執筆時点だとCore i7-12700H搭載機が15万円くらいから、Core i7-10750H搭載モデルが10万円くらいからといった感じ。なかなか難しい判断ですが長く使えることを考えるとCore I7-12700Hに軍配が上がると思います。
>Core i7-12700H搭載のおすすめパソコンをチェックする
>Core i7-10750H搭載のおすすめパソコンをチェックする
搭載おすすめパソコン
ドスパラ raytrek R5-AA6
今回のテスト機でも扱ったモデルです。第12世代CPUのパフォーマンスは全く問題がありませんし、RTX3060と組み合わせることで多くの用途で使っていけると思います。ストレージも1TB SSDと速度、容量的にも十分です。この構成で20万円を切っているのはコスパ面でも魅力的です!
Legion 570i(82RB00HVJP)
15.6型WQHDモニターを採用したスタンダードなゲーミングパソコンです。第12世代Core i7-12700H×RTX3060の組み合わせならゲームも快適ですし、高解像データ編集も視野に入ります。最新世代が投入されたことで新鮮味は薄いですが、最新世代にもくいついていける性能はもっています。この構成で12万円台は本当にお得!
ドスパラ GALLERIA UL7C-AA3
CPU | Core i7-12700H |
メモリ | 16GB |
グラボ | Arc A550M/A730M |
ストレージ | 512GB Gen4 SSD |
Core i7-12700Hと専用グラフィックスを搭載しながらも10万円台というドスパラのゲーミングモデルです。もともと倍近くの値段で販売されていたこともあって質感もよく、動画編集やゲームも楽しめるコストパフォーマンスに優れたノートパソコンです。Core i7-12700H搭載モデルとしてはもちろん最安値クラスです!
Dell NEW ALIENWARE X14 プラチナ
CNC機械加工のアルミニウム、マグネシウム合金、ステンレス製の素材の独自な組み合わせを採用した14インチのゲーミングパソコンです。軽さと耐久性を備えながら、パフォーマンスもしっかり引き出せるのが特徴です。時間や場所にとらわれたくないクリエイターやゲーマーにおすすめです!
ASUS TUF Gaming F17/F15
ASUSのTuf Gamingシリーズはコスパが魅力のモデルです。このパーツ構成で18万円台で販売されていますが、セール時期にうまくハマれば15万円前後というのも確認済みです。最新モデルかつ高性能なパソコンが安く手に入る可能性もあるのでASUSは一度チェックすると良いことあるかもしれません。
マウスコンピューター G-Tune P5
税別11万円台から購入できるゲーミングノートです。Core i7-9750H→Core i7-10750Hへと切り替わっても価格が据え置きなのが嬉しいです。約10時間のバッテリー駆動も嬉しくバランスのとれたスタンダードノートPCです。
ドスパラ raytrek R5-AA5
Core i7-12700H×RTX3050の組み合わせなので、描画性能はそこそこといったところ。目的がゲームや4K解像度の動画編集じゃないよという人なら性能は足りるでしょう。sRGBカバー率99%の性格なモニターを採用しているので、RAW現像などの利用におすすめですね。
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