ノートパソコン向けの「Core i7-12700H」と「Core i7-11800H」の性能を比較します。
新旧世代でどれくらいパフォーマンスがちがうのか?は関心の大きいテーマですが、第12世代は飛躍的に性能を伸ばしているので関心の度合いはさらに強いでしょう。実際にベンチマークを行い、RAW現像や動画編集での差を比較していきます。
ライバルのRyzen CPUや、ここ最近主流となっているCPUも登場しますので参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
Core i7-12700H vs Core i7-11800H
解説に入っていく前に「CPUの見分け方や意味がわからない」という人がいれば、「CPUの選び方(スコア)」という記事を参考にしてください。
当記事で掲載されたスコアは性能を約束するものではございません。
Core i7-12700Hのポイント
- コードネーム「Alder Lake」
- 14コア20スレッドでデスクトップ並みの処理を実現
- ハイブリッドアーキテクチャを採用
Core i7-12700Hはノートパソコン用CPUの中でも上位向けのCPUです。処理能力が必要とされるクリエイト向け、ゲーミング向けモデルに多く採用されます。
第11世代との大きなちがいは、ハイブリッドアーキテクチャを採用している点。これは高性能コアと高効率コアの2種類をブレンドしたもので、処理に合わせてパフォーマンスを引き上げたり、省電力に振ったりといったことを行ってくれるものです。
また旧世代と比較するとコア数も増加しているので、単純に高性能化していると理解してもらえたら大丈夫だと思います。その処理能力はデスクトップに引けを取らないほどで、多くのクリエイターにとって武器になりえるCPUです。
Core i7-12700Hの性能(スコア)は?
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-12700H | 27581 | 2.3GHz(4.7GHz) | 14コア20スレッド | 45W |
Core i7-11800H | 21794 | 2.3GHz(4.6GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10875H | 15812 | 2.3GHz(5.1GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10750H | 12688 | 2.6GHz(5.0GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i5-10300H | 9501 | 2.5GHz(4.5GHz) | 4コア8スレッド | 45W |
Core i7-9750H | 11600 | 2.6GHz(4.5GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-8750H | 10516 | 2.2GHz(4.1GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-11700 | 21469 | 2.5GHz(4.4GHz) | 8コア16スレッド | 95W |
Core i7-12700Hはかなり処理能力が高く、Core i7-11800Hと比較すると約27%性能を伸ばしています。
Core i7-11800Hも高いパフォーマンスを発揮し定評があるCPUではありましたが、Core i7-12700Hはさらに超えてきてしまいました。お世辞抜きにデスクトップ並みと言えるほどになっています。
比較に使ったパソコン
名前 | DAIV 5N | raytrek R5-AA6 |
画像 | ||
CPU | Core i7-11800H | Core i7-12700H |
GPU | RTX3060 | |
メモリ | 16GB | |
SSD | 512GB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD |
レビュー | >レビューを見る | >レビューを見る |
今回は、マウスコンピューターとドスパラのクリエイトモデル2機種を比較していきます。どちらも人気があるモデルだけに注目していきたいと思います。
ベンチマークソフトによる比較
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i7-12700H | 748.5 | 6416.2 |
Core i7-11800H | 618.1 | 5186.6 |
Core i7-10870H | 543.1 | 4754.4 |
Core i7-10750H | 503.1 | 3169.5 |
Ryzen 7 5800H | 580.7 | 5731.2 |
Ryzen 5 5600H | 558.6 | 4256.8 |
Core i7-12700Hのシングルスレッドスコアが748.5、マルチスレッドが6416.2となりました。
Core i7-11800Hと比較すると、シングル性能で約21%、マルチスコアで約24%性能がアップしています。より結果を求めるクリエイターやゲーマー向けに仕上がっています。
Core i7-11800Hでも多くの作業で快適性を得られていましたので買い替えるほどではありませんが、それ以前のCPU(例えばCore i7-10750H以前)なら買い替える恩恵は大きいと言えるでしょう。ライバルのRyzen CPUと比較しても良好な結果を示しています。
CINEBENCH R20によるベンチマークスコア
CPU | シングル | マルチ |
Core i7-12700H | 700 | 5316 |
Core i7-11800H | 582 | 3869 |
Core i7-10870H | 490 | 3869 |
Core i7-10750H |
465 | 3089 |
Ryzen 7 5800H | 558 | 4691 |
Ryzen 5 5600H | 528 | 3607 |
CINEBENCH R20でだとCore i7-11800Hに比べてシングル性能は約20%、マルチ性能は約37%もアップしています。
CPU世代が変わったときに目安として10~20%ほど性能があがっていると「順当な進化」といった感じです。第11世代→第12世代はCPU自体の作りも変更になったこともあり性能アップが顕著です。第12世代CPUの登場により、パソコン更新には絶好のタイミングと言えるでしょう。
RAW現像にかかる時間は?
無料現像ソフトの「RawTherapee」で約150枚(5GB)のRAWデータの一括変換を行いました。
CPU | 処理時間 |
Core i7-12700H | 3分42秒 |
Core i7-11800H | 4分23秒 |
Core i7-10870H | 4分54秒 |
Core i7-10750H |
5分10秒 |
Core i7-11700 | 4分16秒 |
Ryzen 7 5800H | 4分42秒 |
Ryzen 5 5600H | 4分23秒 |
RAW現像の差も大きく、Core i7-11800Hよりも40秒ほど速く処理を終えています。
RAW現像においては書き出し速度は若干速くなるものの、作業性自体が大きく改善するという印象は受けませんでした。日常的に現像を行うフォトグラファーなら第12世代CPUは多くの時間を生んでくれるでしょう。忙しいクリエイターにとっては大きなアドバンテージになるかもしれません。
動画編集の時間を計測
一眼レフで撮影した5分間の4K動画のレンダリングにかかる時間を計測しました。使用した動画編集ソフトはResolveです。
モデル | 構成 | 処理時間 |
raytrek R5-AA6 | Core i7-12700H×RTX3060 | 3分20秒 |
DAIV 5N | Core i7-11800H×RTX3060 | 4分48秒 |
G-Tune E5-165 | Ryzen 7 5800H×RTX3060 | 4分13秒 |
GALLERIA XL5R-R36 | Ryzen 5 5600H×RTX3060 | 5分01秒 |
DAIV 5P | Core i7-11800H×RTX3050 | 4分15秒 |
GCL2060RGF-T | Core i7-10750H×RTX2060 | 5分51秒 |
Core i7-12700H×RTX3060の組み合わせはさすがに強いですね。3分台というのは本当にデスクトップ並みの処理時間だったりします。一方のCore i7-11800H×RTX3060の組み合わせより1分以上も速いです。
動画編集などの高度な処理においては最新CPUのアドバンテージは大きいですね。
Core i7-12700H vs Core i7-11800H まとめ
・第12世代が最大で約37%ほど高性能
・RAW現像や動画編集では最新CPUが強い
・Core i7-12700H一択と言って良い状態
現状ですとCore i7-12700Hを選べば間違いありません。各種ベンチテストの結果でも大きな差が出ていますし、今からCore i7-11800Hを選択するメリットは案外少ないのかもしれません。
デスクトップ並みの処理能力が持ち運べるというのは、外部に出かけることの多いクリエイターにとっては言うまでもなく武器になります。
ちなみに記事執筆時点だとCore i7-12700H搭載機が15万円くらいから、Core i7-11800H搭載モデルも似たような価格帯といった感じなんですよね。長く使えることも含めて考えると最新CPUを搭載したCore I7-12700Hを選びたいですよね。
>Core i7-12700H搭載のおすすめパソコンをチェックする
>Core i7-10750H搭載のおすすめパソコンをチェックする
搭載おすすめパソコン
ドスパラ raytrek R5-AA6
今回のテスト機でも扱ったモデルです。第12世代CPUのパフォーマンスは全く問題がありませんし、RTX3060と組み合わせることで多くの用途で使っていけると思います。ストレージも1TB SSDと速度、容量的にも十分です。この構成で20万円を切っているのはコスパ面でも魅力的です!
ドスパラ GALLERIA UL7C-AA3
Core i7-12700Hと専用グラフィックスを搭載しながらも10万円台というドスパラのゲーミングモデルです。もともと倍近くの値段で販売されていたこともあって質感もよく、動画編集やゲームも楽しめるコストパフォーマンスに優れたノートパソコンです。Core i7-12700H搭載モデルとしてはもちろん最安値クラスです!
マウスコンピューター DAIV Z6
16型WQXGA(2560×1600)モニターを採用しながらも、重量を約1.64kgに抑えた意欲的なモデルです。パフォーマンス面の心配は全くなく、モバイル性をフルに生かした活動が行えます。バッテリー駆動時間は約11.5時間、ACアダプターもコンパクト、PD対応など利便性も兼ねそろえています。
ASUS ROG Zephyrus M16
16型WUXGA(1920×1200)165zリフレッシューレートの大型モニターを採用しながらも、重量を2kgに抑えたモデルです。Core i7-12700×GeForce RTX3060ならゲーミングはもちろんRAW現像や動画編集もストレスなく楽しめます。駆動時間も約11時間と長く、モバイル先での長時間作業にも耐えられます。
Dell NEW ALIENWARE X14 プラチナ
CNC機械加工のアルミニウム、マグネシウム合金、ステンレス製の素材の独自な組み合わせを採用した14インチのゲーミングパソコンです。軽さと耐久性を備えながら、パフォーマンスもしっかり引き出せるのが特徴です。時間や場所にとらわれたくないクリエイターやゲーマーにおすすめです!
Legion 570i(82RB00HVJP)
15.6型WQHDモニターを採用したスタンダードなゲーミングパソコンです。第12世代Core i7-12700H×RTX3060の組み合わせならゲームも快適ですし、高解像データ編集も視野に入ります。最新世代が投入されたことで新鮮味は薄いですが、最新世代にもくいついていける性能はもっています。この構成で12万円台は本当にお得!
ASUS TUF Gaming F17/F15
ASUSのTuf Gamingシリーズはコスパが魅力のモデルです。このパーツ構成で18万円台で販売されていますが、セール時期にうまくハマれば15万円前後というのも確認済みです。最新モデルかつ高性能なパソコンが安く手に入る可能性もあるのでASUSは一度チェックすると良いことあるかもしれません。
マウスコンピューター G-Tune H5
240Hzリフレッシュレート対応モニターと、それを生かせるだけのパフォーマンスをしっかりのせたゲーミングノートです。メカニカルキーボードを採用するなど製品としてのユニークさも際立っており満足度の高いパソコンになっています。ただし発熱には要注意です!
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