パソコンの最も大切なパーツであるCPU。しかし型番を見ても「なんのことかわからない」という人も決して少なくないはず。
そこで、できるだけ簡単にCPUの説明をした後で「写真編集やRAW現像で選ぶべきCPU」をスコアも掲載しつつ、おすすめの搭載パソコンも書いていこうと思います。
目次
CPUの役割は?
CPUとは「Central Processing Unit」の略で、日本語にすると「中央処理装置」となります。たくさんの集積回路からできているパーツで、演算を担当しています。命令系統や全体の動作を管理するパーツでもあるので、人間だと「頭脳」に例えられることもあります。
最近のCPUはどんどん高性能化しており、他のパーツが担っていた仕事もこなすようになってきています。映像や動画の再生を滑らかにしてくれる、グラフィックを内臓しているものが増え、そういう意味ではますます重要になってきているパーツでもあります。
しかしながらCPU単体で快適な動作をさせるまでには至っていないのが現状です。専用のグラフィックボードを搭載しているモデルを選ぶことをおすすめします。
写真の編集作業においてはCPU負荷がかかります。全ての処理の大元と言っても大げさではないので、予算が許せば少し余裕をもって高性能なものを選んでおくのがおすすめです。
CPUメーカーは「Intel」と「AMD」
CPUの2大メーカーは「Intel」と「AMD」です。
従来までのシェア率はIntelが圧倒的に多く、会社や学校なんかでもほとんどがIntel CPUを搭載したパソコンが採用されています。「おすすめのBTOショップ」で紹介しているようなパソコンメーカーでも、Intel製CPU搭載モデルのほうが売れ行きとしては好調と聞きます。
アプリの安定性をとってもIntelのほうが有利なシーンが多いため、迷ったらIntel CPUを搭載したモデルを選べば良いと思います。
では「AMDのCPUが悪いのか?」と聞かれたら、そのようなことは全くありません。ちなみに僕の自作PCはAMD製です。Ryzenシリーズと呼ばれていて、性能が高いのに価格が安いというのが特徴です。(最近はそうでもなくなってきましたが…)
両者のCPUは「追いつけ追いこせ」みたいなところもありますので、購入する時期によっては性能に差がある場合もあります。この記事でしっかりと見分けられるようにしていますので、難しい話も出てくるかもしれませんが読み進めてください。
CPUのスペックはこうやって決まる!
※やや専門的になるので、おすすめPCが見たい人は飛ばし読み推奨。
- 動作周波数(クロック)
- コア(スレッド)数
動作周波数(クロック)
動作周波数(クロック)は「GHz」の単位で表され、処理の回数を表しています。クロック数が高いほど処理能力が高くなるので、高負荷な写真編集には高性能なCPUが向いています。
クロックは通常時と高負荷時で変化します。たとえばCore i5-8400だと、定格は2.8GHz、オーバーブースト時には4.0GHzまで上昇します。(4.0GHzだと1秒間に40億回の処理が可能)必要な時には処理能力をあげて、負荷がかかっていない時は省エネでパソコンを動かしてくれているんですね。
バッテリー寿命が大切なノートPCだと「定格クロックは小さいけど高負荷時はデスクトップ並」ということもあります。このことからわかるように、重視すべきはオーバーブースト時のクロックです。
コア(スレッド)数
コア数は、平行して処理を進められる能力だと思ってください。多ければ多いほど、平行してたくさんの処理を行えるので、結果的に処理が早く終わります。動作周波数が同じでも、コア数が多いほうがより高性能というわけです。
引っ越しで例えるなら、荷物が負荷量、人がコア、両手がスレッドです。1人でやるよりも4人でやったほうが、当然早く引っ越しが終わりますよね。
動画編集や書き出しといった作業にはとても有力で、高性能なCPUは助けになってくれるでしょう。ただ、コア数が多ければ良いというわけでもなく、マルチ(複数)コアの処理に対応していないソフトは高速化できないので注意が必要です。
CPUの型番の数字の意味は?
Intel製のCPUだと「Core i○」という数字で表されています。数字が大きくなるほど高性能なCPUで、Core i3< Core i5<Core i7となります。さらに「Core i5-8400」「Core i5-8500」と続き、こちらも数字が大きい方が高性能になります。
そして末尾に「サフィックス」と呼ばれる、アルファベット一文字が付いている場合があります。これは「ノートPC用のCPUですよ」「高性能ですよ」「省電力ですよ」という意味を持っています。
- X:超高性能
- K:オーバークロック対応
- H:モバイル用
- HQ:モバイルクアッドコア
- HK:モバイル用でOC対応
- T or U:省電力
実際に見かけるのはオーバークロックができる「K」や、モバイルの「H」などだと思います。覚える必要はありませんが、気になった時に確認しれもらえれば幸いです。
RAW現像はIntelの最新世代CPUを選ぼう!
CPUには世代があって、2022年現在ですと第12世代Intel CPUが販売されています。当然ながら後から発売されたCPUのほうが高性能ですので、性能を重視するなら最新モデルを選ぶべきです。
- コア数が増えて、より効率よく処理を行えるようになる
- 高負荷(オーバーブースト)時の、クロックが上がる
良いことづくめですね(笑)逆にデメリットは価格が高くなってしまうことです。新旧であまり性能UPが見込めない場合もありますので、その場合はコスパを重視して旧モデルを選ぶという選択もあります。
Intel製CPU
写真編集用にはやっぱり高性能な「Core i7」搭載のパソコンがおすすめです。一般用途であれば「Core i5」でも充分かもしれませんが、自分のレベルアップとともに物足りなく感じる可能性も高いからです。
BTOパソコンメーカーではあまり扱われないようなCPUもあるため、代表的なものをピックアップして載せています。
CPUスコア
Intel製デスクトップCPUの性能
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i9-14900K |
60897 | P:3.2GHz(6.0GHz) E:2.2GHz(4.4GHz) |
24コア32スレッド (P:8コア/E:16コア) |
125W |
Core i7-14700K | 53512 | P:3.4GHz(5.6GHz) E:2.5GHz(4.3GHz) |
20コア28スレッド (P:8コア/E:12コア) |
125W |
Core i7-14700F | 51355 | P:2.1GHz(5.4GHz) E:1.5GHz(4.2GHz) |
20コア28スレッド (P:8コア/E:12コア) |
65W |
Core i5-14400F | 25728 | P:2.5GHz(4.7GHz) E:1.8GHz(3.5GHz) |
10コア16スレッド (P:6コア/E:4コア) |
65W |
Core i7-13700K | 47156 | P:4.2GHz(5.4GHz) E:2.5GHz(3.4GHz) |
16コア24スレッド (P:8コア/E:8コア) |
125W |
Core i7-13700 | 41160 | P:2.1GHz(5.2GHz) E:1.5GHz(4.1GHz) |
16コア24スレッド (P:8コア/E:8コア) |
65W |
Core i5-13400 | 26442 | P:2.5GHz(4.6GHz) E:1.8GHz(3.3GHz) |
10コア16スレッド (P:6コア/E:4コア) |
65W |
Core i9-12900 | 34922 | P:2.4GHz(5.1GHz) E:1.8GHz(3.6GHz) |
16コア24スレッド (P:8コア/E:8コア) |
65W |
Core i7-12700K | 34770 | P:3.6GHz(5.0GHz) E:2.7GHz(3.8GHz) |
12コア20スレッド (P:8コア/E:4コア) |
125W |
Core i7-12700 | 31136 | P:2.1GHz(4.9GHz) E:1.6GHz(3.6GHz) |
12コア20スレッド (P:8コア/E:4コア) |
65W |
Core i5-12400 | 19333 | 2.5GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Core i9-11900K | 25579 | 3.5GHz(5.2GHz) | 8コア16スレッド | 125W |
Core i7-11700K | 25090 | 3.6GHz(5.0GHz) | 8コア16スレッド | 125W |
Core i7-11700 | 21469 | 2.5GHz(4.4GHz) | 8コア16スレッド | 95W |
Core i5-11400 | 17507 | 3.6GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Intel製モバイル(ノートPC)CPUの性能
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-14700HX | 37546 | P:2.1GHz(5.5GHz) E:1.5GHz(3.9GHz) |
20コア28スレッド (P:8コア/E:12コア) |
55W |
Core i7-13700H |
29810 | P:2.4GHz(5.0GHz) E:1.8GHz(3.7GHz) |
14コア20スレッド (P:6コア/E:8コア) |
45W |
Core i7-13620H |
25324 | P:2.4GHz(4.9GHz) E:1.8GHz(3.6GHz) |
10コア16スレッド (P:6コア/E:4コア) |
45W |
Core i7-12700H | 27581 | P:2.3GHz(4.7GHz) E:1.7GHz(3.5GHz) |
14コア20スレッド (P:6コア/E:8コア) |
45W |
Core i7-12650H | 24621 | P:2.3GHz(4.7GHz) E:1.7GHz(3.5GHz) |
10コア16スレッド (P:6コア/E:4コア) |
45W |
Core i5-12500H |
21801 | P:2.5GHz(4.5GHz) E:1.8GHz(3.3GHz) |
12コア16スレッド (P:4コア/E:8コア) |
45W |
Core i7-11800H |
21794 | 2.3GHz(4.6GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10750H | 12688 | 2.6GHz(5.0GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
AMD製CPU
CPUスコア
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Ryzen 7 7800X3D |
34392 | 4.2GHz(5.0GHz) | 8コア16スレッド | 120W |
Ryzen 7 7700X | 36459 | 4.5GHz(5.4GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 5 7600X | 28797 | 4.7GHz(5.3GHz) | 6コア12スレッド | 105W |
Ryzen 5 7600 |
27810 | 3.8GHz(5.1GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 9 5900X |
39462 | 3.7GHz(4.8GHz) | 12コア24スレッド | 105W |
Ryzen 7 5800X | 28493 | 3.8GHz(4.7GHz) | 8コア16スレッド | 105W |
Ryzen 7 5700X | 27090 | 3.4GHz(4.6GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 5 5600X | 22161 | 3.7GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 5 5600 | 21247 | 3.5GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Ryzen 9 3900X | 32860 | 3.8GHz(4.6GHz) | 12コア24スレッド | 105W |
Ryzen 9 3900 | 30636 | 3.1GHz(4.3GHz) | 12コア24スレッド | 65W |
Ryzen 7 3700X |
22742 | 3.7GHz(4.3GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 5 3600X | 18309 | 3.8GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 95W |
Ryzen 5 3600 | 17825 | 3.6GHz(4.2GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
AMD製モバイル(ノートPC)CPUの性能
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Ryzen 7 7840HS |
29047 | 3.8GHz(5.1GHz) | 8コア16スレッド | 54W |
Ryzen 7 6800H |
23651 | 3.2GHz(4.7GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Ryzen 9 5900HX |
23162 | 3.3GHz(4.6GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Ryzen 7 5800H | 21724 | 3.2GHz(4.4GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Ryzen 5 5600H | 17681 | 3.3GHz(4.2GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
掲載されたスコアはPASS MARK社が開示しているデータであり、性能を約束するものではございません。
インテルCPU搭載のおすすめPC
ドスパラ raytrek 4CXVi
第13世代Core i7-13700F×RTX4060Tiを搭載しながら税込20万円台のクリエイト向けパソコンです。価格も当然魅力的ですが、これくらいしっかりした性能があれば高負荷作業でも問題なく動くでしょう。長期的にもパフォーマンス不足に悩まされるリスクも減るでしょうし、パソコンを長く使いたい人にもおすすめのモデルです。
ドスパラ GALLERIA UL7C-AA3
CPU | Core i7-12700H |
メモリ | 16GB |
グラボ | Arc A550M/A730M |
ストレージ | 512GB Gen4 SSD |
Core i7-12700Hと専用グラフィックスを搭載しながらも10万円台というドスパラのゲーミングモデルです。もともと倍近くの値段で販売されていたこともあって質感もよく、動画編集やゲームも楽しめるコストパフォーマンスに優れたノートパソコンです。Core i7-12700H搭載モデルとしてはもちろん最安値クラスです!
マウスコンピューター DAIV FX-I5G60(アウトレット)
マウスコンピューターのアウトレット品には格安パソコンが眠っています。クリエイターに人気のDAIV FXシリーズも通常は価格が高めですが、本モデルなら16万円台と20万円を大きく下回ります。余った予算分でメモリを増やしたり、CPUファンを高性能なタイプに切り替えるなどすれば好みの1台に仕上がるはずです。
ドスパラ raytrek R5-RL6
ドスパラのクリエイターモデルには、RTX4060を搭載しながら20万円切りとコスパ抜群のモデルが存在します。デスクトップパソコン並みの処理能力を誇り、SSDも高速なGen4タイプとなっています。迷ったらとりあえずコレ!と言えるくらい完成度の高いモデルです。
フロンティア FRGLB760W/WS1
Core i7-13700F×RTX4070の構成で性能面の心配は無用!税込25万円台ながらも白いパーツにこだわったモデルです。32GBメモリでマルチタスクにも強く、電源に750W 80PLUS GOLDをチョイス。国産品質のパソコンをユーザーに届け、性能面と安心面で支えてくれます。人とはちがったパソコンが欲しい人におすすめ!
AMD CPU搭載のおすすめPC
フロンティア FRGAB550/WS629/NTK
10万円前後でお得にパソコンを手に入れたいならセール品などをうまく活用したいところ。フロンティアなら、Ryzen 5 5600X×RTX3060の組み合わせで税込11万円台という破格のお値段!少し無理をしてでもこのクラスのパソコンを手にするメリットはあるはずです。フロンティアのセール品は売り切れ後もたまに在庫が追加される可能性があるので定期的なチェックをおすすめします。
マウスコンピューター DAIV FX-A5G60
最新のAMD Ryzen 5 7600Xを採用したDAIVのデスクトップパソコンです。高い処理能力を誇り、RAW現像や動画編集などのデータ処理を快適に行えるパソコンに仕上がっています。王道的な構成に仕上がっており届いたらすぐに使えるのも魅力です!
ASUS ROG Flow X13 GV301QE
13.4型の薄型軽量ながらRyzen 7×RTX3050を搭載した本格的なモデルです。このクラスとしては最軽量クラスですし、外付けのGPUモジュールを利用すればさらに描画性能を高めることも可能。持ち出しにも、自宅作業にも強いパソコンに仕上がっています。タッチパネル式なので利用範囲も広いです!
マウスコンピューター NEXTGEAR JG-A5G1D
国産のマウスコンピューターでは、Ryzen CPUを搭載したエントリーモデルがあります。価格は10万円切りで、格安パソコンとは思えないほどのこだわりを見せます。いつでもどのタイミングでも購入できる標準モデルでこの価格はちょっと信じがたいです。24時間サポートが付いていたりとアフターサービスにも定評がありますので安心感は強いです。RTX4060搭載の上位モデルでも12万円台なので要チェックです!
最後に
少しだけでもCPUのことが理解してもらえたでしょうか?
CPUはRAW現像や、写真・動画編集だけでなく、全ての動作に関連する大切なパーツですので慎重に選んで欲しいと思います。またパーツ構成でも予算がとられるパーツなので、賢い選択をしてくださいね。
当ブログは予算や目的、パーツなどからおすすめのパソコンが選べるような作りになっております。ぜひトップページからお気に入りのパソコンを探してみてください。