ドスパラよりraytrek Debutをレビューします。(機材貸出元:株式会社サードウェーブ)
第11世代Core i5-11400搭載で税込8万円切りという格安のクリエイター向けパソコンがドスパラから登場!高いCPU処理能力で制作活動を後押ししてくれます。専用グラフィック非搭載モデルですが「グラボが余っている」とか「別で用意したい」という人のカスタマイズベースとしてもおすすめです。
それでは、各ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像、動画編集にかかった時間などを含めて実機レビューしていこうと思います。
目次
raytrek Debutの性能
公式HP:https://www.dospara.co.jp
ドスパラのraytrek Debutは、クリエイター向けのエントリーデスクトップPCです。
CPUには最新のCore i5-11400を採用しているので、ライトユーザーや初心者向けのパフォーマンスといったところです。従来のCore i7に匹敵するほどの処理能力を持っているので、幅広い用途で楽しめるパソコンに仕上がっています。
もしもゲームや動画編集を考えている人は、専用グラフィック(グラボ)を搭載したモデルを選ぶことをおすすめします。例えばGeForce GTX1650搭載の「MH-11400」や、Core i7-11700×GTX1650搭載の「raytrek MX」あたりが良いでしょう。
raytrek Debutの外観チェック
クリエイター向けのモデルと言っても、デザイン的に特別な仕上がりはなく普及パソコンといったイメージ。従来からデスクトップパソコンを使用している方なら違和感なく設置できるでしょう。グラボ非搭載ということもあってデスクトップとしては非常に軽量(約7.8kg)です。
フロント側にはUSBコネクタや電源ボタンなどが設置。本格的なクリエイター向けPCならもう少し数が欲しいところですが、一般ユーザー向けの製品と考えたら納得です。むしろ価格を抑えることにつながっているならアリですよね。
冷却性、静音性は?
raytrek Debutはとても静かで負荷がかかっても気にならないレベルです。ただし標準のCPUファンが小型のため冷却性が高いとは言えないかもしれません。
残念ながら本モデルは多様なカスタマイズに対応していません。カスタマイズ項目を見ても、ケースファンやCPUファンの変更は不可。スペックが高すぎないため、そこまで本格的な冷却装置は必要ないと思いますが本音を言うとCPUファンやケースファンは追加したいところです。
ドスパラでも上位モデルには「静音パックまんぞくコース」なる高性能ファンを搭載したモデルがあるので、本格的な冷却性を求めるなら上位モデルが良いでしょう。あくまでも価格をおさえたい人向けのモデルです。
raytrek Debutのスペック
テスト機の内部はこのような感じです。電源を上部に設置したスタイルで、ストレージベイもあるのでHDDやSSDの追加もできます。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i5-11400 |
グラフィックス | インテル UHDグラフィックス730 |
メモリ | 16GB |
SSD | 500GB NVMe SSD |
電源 | 550W 静音電源 (80PLUS BRONZE) |
サイズ | 190(幅)×420(奥行き)×360(高さ) mm |
重量 | 約7.8kg |
>公式サイトで詳細を確認する |
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
CPU Core i5-11400の性能
搭載されているCPUはCore i5-11400です。6コア12スレッドのCPUで、通常は3.6GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大4.4GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i5-11400 | 17507 | 3.6GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Core i5-10400 | 12915 | 3.6GHz(4.4GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Core i7-10700 | 17632 | 2.9GHz(4.8GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 7 3700X |
22742 | 3.7GHz(4.3GHz) | 8コア16スレッド | 65W |
Ryzen 5 3600 | 17825 | 3.6GHz(4.2GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
旧世代のCore i5-10400から約36%も高いスコアで、進化具合をしっかり体感できます。
数値だけを見るなら第10世代のCore i7-10700にさえ匹敵するというのも見逃せないですよね。ライバルのRyzen 5 3600と比較しても遜色ありません。
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU-Zによるスコアは以下の通りです。
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i5-11400 | 594.3 | 4273.0 |
Core i5-10400 | 491.9 | 3626.8 |
Core i5-9400 | 450.5 | 2524.0 |
Core i7-10700 | 559.4 | 4841.8 |
Ryzen 7 3700X | 516.7 | 5560.9 |
Ryzen 5 3600 | 499.3 | 3970.2 |
シングルスレッドのスコアが594.3、マルチスレッドが4273.0です。
Core i5とは言ったものの、Core i7-10700に匹敵するほどのベンチマークスコアをたたき出している点は魅力的です。もはやこれまでのCore i5の壁は破ったと言って良いでしょう。
CINEBENCH R20によるベンチマークスコア
CPU | シングル | マルチ |
Core i5-11400 | 525 | 3245 |
Core i5-10400 | 448 | 3059 |
Core i5-9400 | 426 | 2370 |
Core i7-10700 | 492 | 3564 |
Ryzen 7 3700X | 504 | 4822 |
Ryzen 5 3600 | 485 | 3435 |
シングルスレッドのスコアが525、マルチスレッドが3245です。格安パソコンとは思えないほどCPU性能が高く、メーカーの良心を感じます。決して性能面で妥協していたり、手を抜いている印象は受けません。
これだけのスコアを出せるのですから実行速度も決して悪くないはずです。RAW現像や動画編集でどれくらいの数字が出るか楽しみです。
RAW現像にかかる時間は?
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の表示も速く、編集を当てても一瞬なので快適でした。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Core i5-11400 | 4分54秒 |
Core i5-10400 | 5分29秒 |
Core i5-9400 | 6分01秒 |
Core i7-10700 | 4分47秒 |
Ryzen 7 3700X | 4分28秒 |
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「4分54秒」でした。
Core i5-10400から大幅に処理時間を短縮しただけでなく、Core i7-10700と同程度なのは本当に驚きました。
グラボ非搭載なので編集作業中の映像表示にはややタイムラグが発生することもありましたが、趣味でRAW現像を行うなら十分すぎる性能だと思います。
raytrek Debutのグラフィック性能・ゲームスコア
raytrek DebutはCPU内蔵のインテル UHDグラフィックス730です。
さすがにオンラインゲームや動画編集を快適にできるほどの性能はもっていません。よほど軽いブラウザーゲームや、ライトな動画編集がやっとというところです。
FF15(重たいゲーム)のベンチマーク
モデル | 設定 | スコア |
raytrek Debut | 1280×720(軽量品質) | 動作困難 |
GALLERIA RM5C-R36T (RTX3060Ti) |
3840×2160(標準品質) | 普通(5341) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(12738) | |
GALLERIA XA7R-R36 (RTX3060) |
3840×2160(標準品質) | 普通(4260) |
1920×1080(標準品質) | とても快適(11440) |
FF15のベンチ結果では、最低設定でも動作困難という結果になりました。
ゲームをプレイしたいならグラボは絶対条件です。最低でもGeForce GTX1650のようなパーツを搭載したモデルを選ぶべきです。
ちなみに同じCore i5-11400にRTX3060Tiを組み合わせたGALLERIA RM5C-R36Tなら、ほとんどのゲームに対応できますし、軽めの4K動画編集まで耐えられるパフォーマンスに引きあがります。価格は倍以上しますができることも当然増えるので楽しみも倍増しますよ。
動画の書き出しにかかる時間は?
動画編集ソフトはResolveで書き出し時間を計測しました。書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
モデル | 設定 | スコア |
raytrek Debut | Core i5-114000×UHDグラフィックス730 | 12分58秒 |
GALLERIA RM5C-R36T | Core i5-114000×RTX3060Ti | 5分39秒 |
GALLERIA XA7R-R36 | Ryzen 7 3700X×RTX3060 | 3分26秒 |
raytrek ZF | Core i9-10900K×RTX3070 | 3分00秒 |
GALLERIA ZA9R-R70S | Ryzen 9 3900X×RTX2070S | 2分23秒 |
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は12分58秒です。動画編集を楽しむには現実的ではないイメージでしょうか。
フルHDの書き出し時間は5分48秒ですが、編集作業中の画面でももたつきを感じるレベルです。やはり動画編集にもグラボは搭載したいところです。
かなり軽い動画編集ソフトを探したり、フルHD編集にとどめれば不可能ってほどでもないのですが過度な期待は禁物です。
ストレージ性能
ストレージの読込速度は約2500MB/s、書込速度は約1800MB/sという結果になりました。この規格としては標準的な性能ですのでサクサク使えて気持ちがよいです。
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
ドスパラは納期短縮に力をいれているので、早いモデルだと翌日出荷されます。本機も翌日出荷対応モデルになっていますので、すぐパソコンが欲しいという人にも嬉しいですね。
raytrek Debutのインターフェース
前面:USB3.0 x2
背面:USB2.0 x4 USB 3.2 Gen1 x2(Type A x2)
映像出力:DisplayPort x1 HDMI x1 D-Sub x1
チップセットの仕様上、同時出力は2画面までです。
raytrek Debutのデメリット
・グラボが非搭載
・カスタマイズがあまり選べない
raytrek Debutは、CPU処理能力が高いのでグラボを搭載してやることで多くの用途に対応できるモデルへと進化します。より魅力的なモデルに仕上げるために豊富なカスタマイズにも対応してくれると良いのですが、実際は売り切りのような形です。
低価格を実現することを主においたモデルだからこそですが、こだわりの強いクリエイターにとって選べるカスタマイズが少ないのはやや残念です。自力で行えるようなユーザーには美味しいモデルだと思います(笑)
もしもゲームや動画編集を考えている人は、専用グラフィック(グラボ)を搭載したモデルを選ぶことをおすすめします。例えばGeForce GTX1650搭載の「MH-11400」や、Core i7-11700×GTX1650搭載の「raytrek MX」あたりが良いでしょう。
raytrek Debutはこんな人におすすめ
- 予算が10万円以下の人
- 趣味でRAW現像を楽しみたい人
- グラボ非搭載モデルでOKな人
- 自力でパーツ交換が行える人
- 急ぎでパソコンが必要になった人
公式HP:https://www.dospara.co.jp
raytrek Debutの感想まとめ
ドスパラのraytrek Debutをレビューしてきました。
Core i5-11400の高い処理能力で、ほとんどの作業は快適に行えるパフォーマンスが魅力!これが8万円以下で購入できるのだから良い時代になりました。グラボを搭載してやることで花開くモデルでもあると思うので、カスタマイズベースとしても魅力的です。コストを抑えたい方、初心者のはじめての1台として、サブ機としてなど活躍が期待できるモデルだと思います。
ドスパラは国内生産ですし、万が一の時は実店舗なんかで相談もできるので安心感があります。他にも多数のパソコンを販売しているので、チェックしてみても良いかもしれません!
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